2001 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後髄液中プロスタグランジンD合成酵素の機能と脳血管攣縮治療への応用
Project/Area Number |
12671376
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60238920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 部長 (10201360)
山田 和雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90150341)
梅村 淳 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00244567)
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Keywords | くも膜下出血 / β-trace / プロスタグランジンD合成酵素 / 脳血管攣縮 / ビリベルジン |
Research Abstract |
くも膜下出血患者において,髄液中分泌型プロスタグランジンD合成酵素(PGDS)はその輸送蛋白質としての働きによって脳血管攣縮の原因物質あるいは影響を与える物質を捕捉し,脳血管攣縮を改善させる働きを持つという仮説を証明するために以下の実験を行った. (1)くも膜下出血患者の髄液中PGDSの濃度変化を経時的に測定した.その結果,くも膜下出血後3-5日目にPGDSの濃度が急激に増加すること(Neurosci Lett 270:188-190,1999),さらに脳血管攣縮発症症例では9-14日目にPGDS濃度が有意に減少することを再確認した(印刷中). (2)くも膜下出血患者の持続髄液ドレナージ廃液からPGDSを抗体カラムで精製し,捕捉している物質の同定を行った.GC Mass spectroscopyによる検討で,ビリベルジンが非常に強固に結合していることを明かとした(投稿準備中). (3)イヌのくも膜下腔にヒトrecombinant PGDSを投与し,血中,尿中への排泄動態を検討したところ,髄液腔内に投与されたPGDSは非常にすみやかに血中に移行し,さらに尿中へ排泄されることが明かとなった.また血中に投与した場合,髄液中への逆移行はほとんどないことも明らかにした.すなわち髄液中から血中・尿中へのPGDSの能動輸送が示された(投稿準備中). (4)くも膜下出血患者の尿中PGDSにもビリベルジンが結合していた.すなわちくも膜下出血代謝産物としてのビリベルジンはPGDSに結合して髄液中から尿中へ速やかに排泄される経路が明らかとなった(投稿準備中).またビリベルジンの酸化物が強い血管収縮作用を持つという報告の追試を行い確認した. (5)イヌ自家血大槽内2回注入モデルで,脳血管攣縮の程度をPGDS持続注入群と人工髄液注入群とで比較したところPGDS注入群の方がコントロール群に比べ脳血管攣縮の程度が軽くなる傾向が見られたが,統計学的有意差はなかった(投稿準備中). (6)マウスのくも膜下出血モデルを用いたPGDS遺伝子発現の実験はまだ結果を得られるには至っていない.本研究で得られた結果はいずれもくも膜下出血におけるPGDSのスカベンジャー仮説を強く支持する.今後は遺伝子発現および免疫組織学的検討をさらに行うとともに,くも膜下出血後の脳血管攣縮予後改善物質としてのPGDSの可能性についてさらに検討する予定である.
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Research Products
(1 results)