2001 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜線維芽細胞のアポトーシスにおけるcalpainの発現
Project/Area Number |
12671405
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 克時 岐阜大学, 医学部, 教授 (90170969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳毅 岐阜大学, 医学部, 助手 (10313884)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / アポトーシス / p53 |
Research Abstract |
calpainは細胞内中性システインプロテアーゼとして発見され様々な機能を果たすことが近年明らかとなってきている。我々のグループでは90年代前半よりcalpainのマトリクスプロテアーゼとしての働きにつき研究をすすめてきた。コラーゲン誘発マウス関節炎(CIA)モデルにcalpainが発現していること、m-calpain抗体を用いた免疫組織染色では関節炎急性期にcalpainの発現と関節炎や軟骨破壊の組織学的スコアとの間に明らかな正の相関が認められたこと。関節炎におけるcalpainは関節内の炎症細胞(主として多核白血球、滑膜表層細胞、滑膜下線維芽細胞)でもっともよく染色されたが、このほかに軟骨や滑膜の表面、関節軟骨基質、軟骨細胞窩では細胞外にcalpainが存在することを報告してきた。今回の実験では手術の際採取した培養リウマチ滑膜細胞をカルパイン阻害剤の一種であるN-acetyl-leucyl-leucyl-methionina(ALLM)で前処置すると単独では細胞死が誘導されないH202の濃度にてアポトーシスが誘導された。更にこの細胞死情報伝達機構を調べるとマップキナーゼの一種であるc-Jun N-terminal kinase(JNK)の活性化を伴うこと、その下流に細胞死誘導の転写因子として広く知られているp53およびその基質であるサイクリン依存性キナーゼ抑制因子p21の発現の増強を伴うことが示された。しかしながらこの系はカルペプチンやN-acetyl-leucyl-leucyl-norleucinal(ALLN)等、他のカルパイン阻害剤では誘導されなかったことよりALLMの副次的作用であるプロテアソーム阻害作用によりリウマチ滑膜細胞の細胞死が誘導されていると考えられた。慢性関節リウマチでは滑膜の異常増殖が病状の悪化の指標となることは広く知られており、この研究によりプロテアソームの機能を調節することがRAの新たなる治療のターゲットとなる可能性が示唆された。
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