2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット軟骨全層欠損モデルの修復過程におけるBMP-2/4の発現と局在
Project/Area Number |
12671425
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 英一 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (70274719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博志 熊本大学, 医学部, 助教授 (60174025)
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Keywords | 関節軟骨 / 骨形成因子 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
6週齢Wister系ラットの大腿膝蓋溝にdouble blade systemを用い一定のV字状軟骨全層欠損を作成した.これまでにこの欠損部中央では術後4日で未分化間葉系細胞の充填・凝集,1週で未熟軟骨細胞の出現,2週で軟骨細胞の成熟と肥大化が生じ,4週で隣接関節軟骨と同じ組織像が再現性高く観察されることを明らかにしている。術後経時的にBMP-4,BMP-6,GDF-5,BMP受容体(BMPR)IA, IB及びIIに対する免疫染色を行い,その発現・局在を観察した.その結果BMP-4の発現は術後2日及び4日の未分化間葉系細胞,術後1週の未熟軟骨細胞,術後2週の軟骨細胞に強くみられたが,術後4週の軟骨細胞では低下していた.BMP-6及びGDF-5の発現は未分化間葉系細胞にはみられず,術後1週の未熟軟骨細胞に弱く,術後2週以降の軟骨細胞に強くみられた.BMPR-Iについては術後2日の未分化間葉系細胞にhIBのみが発現しており,術後4日にはIA, IBともにみられたが,IBがより強く発現していた.これに対し術後2週以降の軟骨細胞では両者みられるもののIAがより強く発現していた.一方BMPR-IIha未分化間葉系細胞,未熟軟骨細胞,軟骨細胞に発現していた.現在BMPは多くのsubtypeを有しI型とII型受容体を介してシグナル伝達されることが判明し,軟骨形成ではBMP-4は未分化間葉系細胞の増殖や軟骨細胞への分化誘導,軟骨基質合成の促進などに,一方BMP-6とGDF-5では軟骨細胞の肥大化等への関与が報告されている。今回の結果ではBMP-4,6,GDF-5の局在とBMPR-IとIIは一致して共存してみられることより,軟骨修復過程におけるこれらのBMPが受容体を介し作用していることが推察され,これらの作用には初期分化では主にBMPR-1Bを,一方後期分化では主にBMPR-1Aを介するシグナル伝達が重要であることが示唆された.
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