2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット軟骨全層欠損モデルの修復過程におけるBMPの発現と局在
Project/Area Number |
12671425
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 英一 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70274719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博志 熊本大学, 医学部, 助教授 (60174025)
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Keywords | 関節軟骨 / 骨形戒因子 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
6週齢ラット関節軟骨全層欠損モデルを用いて、軟骨組織により修復される幅0.7mmの小さな欠損と、線維性組織で修復される幅1.5mmの大きな欠損におけるBMPシグナリングについて検討した。欠損作成後、欠損中心領域におけるBMP-4、BMP-6、GDF-5とその受容体BMPRIA及びIB、BMPRII、ActRII/IIBの発現と局在について、免疫染色により経時的に観察した。 小さな欠損の軟骨修復過程では2日目、欠損中心の細胞にはBMP-4を含めリガンドの発現はみられなかった。一方、受容体については、BMPRIA及びIB、BMPRII、ActRII/IIBはいずれも発現していた。4日目にBMP-4の発現がみられたが、BMP-6及びGDF-5の発現はみられなかった。BMPRIA及びIB、BMPRII、ActRII/IIBは、2日目と同様にほとんどの細胞に発現していた。7日目には欠損中心の細胞はtype II collagen mRNAを発現する多角形細胞となり、BMP-4はその細胞と周囲の細胞に発現していた。またBMP-6も同様に多角形細胞に発現したが、GDF-5の発現はみられなかった。受容体については、いずれも多角形細胞とその周囲の細胞に発現していた。軟骨基質がみられる2週目には、BMP-4及びBMP-6はほとんどの軟骨細胞に発現していたのに対し、GDF-5の発現は肥大軟骨細胞に限局していた。また受容体はいずれもほとんどの軟骨細胞に発現していた。 一方、大きな欠損の線維性修復過程では、BMP-4は2日目ではみられなかったが、4日目でわずかな細胞に発現し、またそれ以降発現は消失していた。BMP-6及びGDF-5の発現は全時期を通じみられなかった。受容体についてはBMPRIA及びIB、BMPRII、ActRII/IIBはいずれの時期でも発現していた。 今回の結果は、関節軟骨全層欠損の軟骨修復過程におけるBMPシグナリングについて、BMP-4シグナルは軟骨修復過程の開始に重要であること、BMP-6シグナルは軟骨細胞の成熟や肥大化へ関与している可能性があること、またGDF-5シグナルは軟骨細胞の肥大化に関与している可能性があることを確認するものと考えられた。
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