2001 Fiscal Year Annual Research Report
RT-PCR/HPLC法による未梢神経栄養因子の解析
Project/Area Number |
12671438
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 真一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40138045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲尾 保志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30188883)
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Keywords | peripheral nerve / neurotropic factor |
Research Abstract |
平成13年度は、坐骨神経切断後の骨格筋と皮膚中のNTF(NGF, BDNF, NT-3)mRNAを経時的に測定し、標的組織における運動と知覚のNGFmRNA発現の相違について比較検討を行った。雌の5週令ICRマウスを使用し、坐骨結節高位で片側の坐骨神経を切断し、神経切断モデルを作製した。術後1,2,4週後に切断側の腓腹筋と下腿後面の皮膚をそれぞれ採取し、同時に反対側の腓腹筋と下腿後面の皮膚を採取しコントロール群とした。採取した筋肉、皮膚は液体窒素で急速冷凍した後、これまで報告した定量法(RT-PCR/HPLC法)を用いて、RNA量を測定した。 結果:マウス骨格筋のNGF、BDNF、NT-3mRNA量のコントロール群の値は、8.85、38.67、20.80fg/mg tissueであった。切断側の骨格筋中のNGFは切断後1Wでは約2.5倍、4Wでは約4倍に増加した。BDNFmRNAは1W後には約2倍、4W後には約4倍に増加していた。NT-3mRNAはコントロールと比較し1w,2w,4wの各群ともに有意な増加を認めた。一方、反対側ではNGF, BDNF, NT-3mRNAのいずれも、切断前に比べ有意な変化は認められなかった。下腿後面皮膚のNGF, BDNF, NT-3mRNA量はコントロール群では各々28.51、13.38、35.19fg/mg tissueで、NGFは切断後1Wでは約2.5倍と増加した後、2W後には急激に減少し、4Wでは切断前と同じレベルに回復した。BDNFは、神経切断後、皮膚中では早期には有意な変化は見られなかった。反対側ではNGF、BDNF、NT-3mRNAのいずれも、1W、2W、4Wともに、切断前に比べ有意な変化は見られなかった。今回の研究から、坐骨神経切断後に骨格筋・皮膚のNGFmRNAはともに増加するが、皮膚は筋肉に比べ早期に切断前のレベルに減少することが示された。さらにBDNFは平常時より骨格筋に多く存在し、さらに神経損傷後に経時的に増加することが判明した。
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