2000 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存骨膜の骨形成能に関する研究-組織、器官凍結保存法の確立をめざして-
Project/Area Number |
12671441
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
高橋 正憲 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10095622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40214457)
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Keywords | 凍結保存 / 骨膜 / ジメチルスルフォキシド / プログラムフリージング / 植氷 / 骨 |
Research Abstract |
骨膜の凍結、培養条件は、以下に示す方法で行った。ヒト胚の培養に用いられるIVF AH25培養液に0.2Mトレハロース、抗生物質(ホスミシン、10μg/ml)、12%ジメチルスルフォキシド(DMSO)および50%(V/V)鶏卵黄を添加したものを用いた。使用するDMSOは、市販特級品を57mHgで真空蒸留した中間留分を使用した。受精9日鶏胚の大腿骨より採取した5mm^2大の骨膜を直接凍結保護剤0.5mlを含む凍結バックに入れ、シールした。エタノールを冷媒としたプログラムフリーザーを用い、室温/-7.0℃(2.0℃/分)、-7.0℃/-40℃(1.0℃/分)で凍結し、その後直ちに液体窒素に浸漬して-196℃とし、凍結保存した。組織生存性におよぼす植氷の影響を観察するため-7℃で凍結バックを液体チッソで冷却した摂子で挟んで種氷を形成し、10分間-7℃で保持して氷の形成を促す方法も検討した。融解は微温湯中で行い、培養液で洗浄した。融解骨膜を受精9日鶏卵より作製した漿尿膜培地に移植して10日間培養し、ソフテックスを用いてX線撮影を行い、骨形成の有無を確認した。 DMSO不含凍結保護剤を用いてプログラムフリージングした場合、またDMSOを含有しても液体チッソに直接浸漬する方法でも新生骨形成を認めず、凍結保存に際してはDMSOの添加とプログラムフリージングが必須であることが示された。凍結保護剤への卵黄添加は、融解後の新生骨形成率向上に有用であった。その機序を検討するため、精製卵黄油、精製レシチン(フォスファチジルコリン)を卵黄の代わりに添加しても保護効果を認めたが、全卵黄のほうが保護効果が高く、卵黄中の何が保護活性の主体であるか、現在検討中である。植氷は融解後の組織生存性向上に有用であることを認めた。さらに植氷条件を詳細に検討する予定である。長期保存(1週間、1ケ月、3ケ月)を行った結果、いずれも同程度の骨新生率を認め、長期保存が可能であることが示唆された。 同様の培養系を用いて大腿骨の凍結保存、培養を行った。急速凍結したものでは骨の生着を認めず、DMSOおよびDMSOに全卵黄を加えたものでは、コントロール群と同様な骨の生着、成長が見られた。
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