2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671448
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高畑 治 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60179546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛首 文隆 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50243035)
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Keywords | プロスタノイド / 血管リモデリング / 動脈硬化 |
Research Abstract |
生後10-14週(体重25-30g)の野生型およびIP受容体欠損マウスを使用し,左総頚動脈を内頚動脈と外頚動脈との分岐部の近位において完全結紮した.結紮4週後に左心室から10%ホルマリンを注入し灌流固定を行い,左総頚動脈と腕頭動脈を摘出した.結紮部位,または内頚動脈と外頚動脈との分岐部から2mmの近位側から組織標本を作製した.標本は50μm間隔で2mmにわたり40枚作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行った.2mmにおよぶ血管標本の血管径,内膜層(内弾性板より内側部分)および中層面積(内弾性板と外弾性板との間の部分)の変化を5段階に分類し,それぞれの特徴的な標本を10枚選び出し血管径と各面積を計測し,その平均値を個々のマウスの数値とした. 野生型では頚動脈結紮による血流遮断により血管内腔は非結紮側の34%と減少した.内膜層の面積は非結紮側の756±152μm^2に対して,結紮側では3193±2338μm^2へと増加がみられ,内膜層/中膜層(I/M ratio)は非結紮側の0.04から0.08へと増加した.これに対してIP受容体欠損マウスでは血管内腔の減少は非結紮側の24%であった.内膜層の面積は非結紮側の799±213μm^2に対して,結紮側では83096±7630μm^2へと増加がみられ,I/M ratioは非結紮側の0.04から1.58へと大きく増加した. 以上のことから,動脈結紮による血流遮断は血管内腔を減少させ,内膜層の面積を増加させることとなった.さらにこの血流遮断による血管壁の変化は,IP受容体欠損マウスでは強くあらわれることが判明した.このことから,血流変化に伴う血管リモデリングにおいて,PGI_2が重要な役割を担っていることが推察された.
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