2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671463
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白神 豪太郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (20235740)
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Keywords | 気道繊毛上皮 / 気道繊毛運動 / 一酸化窒素 / サイクリックGMP / グアニル酸シクラーゼ / プロテインキナーゼG / プロポフォール / L-アルギニン |
Research Abstract |
気管繊毛上皮細胞の繊毛打周波数(Ciliary Beat Frequency,CBF)制御における一酸化窒素(NO)の役割を検討した。ラット気管繊毛上皮細胞を培養し、位相差顕微鏡下に繊毛運動画像をビデオに記録しCBFを解析した。L-アルギニン(NO前駆体)および8-BrcGMPはCBFを用量依存性に増加させた。またCBFはNOC-12およびGSNO(NOドナー)、zaprinast(cGMPフォスフォジエステラーゼ阻害薬)により増加した。L-アルギニンによるCBF亢進は、L-NMMA(NO合成酵素阻害薬)、ODQ(可溶性グアニレートシクラーゼ阻害薬)、KT5823(プロテインキナーゼG(PKG)阻害薬)により用量依存性に抑制された。L-NMMA、ODQ、KT5823単独投与はCBFに影響を与えなかった。続いて、ラット培養気管繊毛上皮細胞にNO感受性蛍光色素diaminofluorescein(DAF)を負荷し、NO産生を画像蛍光強度より解析した。DAF負荷後、繊毛上皮細胞に一致して蛍光が観察された。DAFを負荷しなかった細胞には蛍光が観察されなかった。L-アルギニン投与により蛍光強度およびCBFが増加した。L-アルギニンによるこれらの増加はL-NMMAの同時投与により消失したが、D-NMMAの同時投与には影響されなかった。D-アルギニン、D-NMMA、L-NMMAのそれぞれ単独投与は蛍光強度およびCBFを増加させなかった。蛍光強度増加とCBF増加の間には有意の正の相関関係が存在した(r=0.81)。以上より、気管繊毛上皮細胞はNOを産生すること、産生されたNOはautocrine/paracrineに働くこと、NO-cGMP-PKG系は気管繊毛運動を制御していることが明らかとなった。 静脈麻酔薬であるプロポフォールのCBFへの影響とNO-cGMP系の役割を検討した。イントラリピド(プロポフォールの臨床使用上の溶媒)はCBFに影響しなかったが、プロポフォールはCBFを用量依存性に亢進させた。プロポフォールによるCBF亢進は、L-NMMA、ODQ、KT5823により用量依存性に抑制された。以上より、プロポフォールはNO-cGMP-PKG系を介して繊毛運動を亢進させることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shirakami G: "Propofol stimulates ciliary motility via the nitric oxide-cyclic GMP pathway in cultured rat tracheal epithelial cells"Anesthesiology. 93. 482-488 (2000)
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[Publications] Li D,Shirakami G: "Nitric oxide production and regulation of ciliary beating frequency by the nitric oxide-cyclic GMP signal transduction pathway in the rat airway ciliated epithelial cells"Am J Resp Cell Mol Biol. 23. 175-181 (2000)