2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの持続硬膜外・くも膜下投与モデルを用いた神経毒性の比較研究
Project/Area Number |
12671469
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
橋本 圭司 島根医科大学, 医学部, 講師 (60252920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 寛 島根医科大学, 医学部, 助手 (20297005)
斉藤 洋司 島根医科大学, 医学部, 教授 (50162243)
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Keywords | 硬膜外投与 / くも膜下投与 / 神経毒性 / 脊髄 / 局所麻酔薬 |
Research Abstract |
脊髄レベルにおける鎮痛物賛の神経毒性をくも膜下投与と硬膜外投与で比較検討することにより、脊髄鎮痛を得るためのより安全な薬物投与法を確立することを目的に研究を行った。今年度はラットの硬膜外投与法を確立し、くも膜下投与法と同様に腰椎下部より投与を行い脊髄同レベルでの神経障害の程度を比較した。 リドカイン2.5%、10%溶液および生理食塩水をくも膜下には20μ1、硬膜外には100μ1投与した。投与後4時間、その後4日間行動学的変化を調べるため、tail flick(TF)テスト、およびpaw pressure(PP)テストを行った。投与後4日目にラットをネンブタールで深麻酔し灌流固定後、脊髄を取り出した。エポキシ樹脂で包埋後、1μmの切片を作成し、トルイジンブルーで染色後光学顕微鏡により観察した。 くも膜下投与群、硬膜外投与群とも、2.5%リドカイン投与ではコントロール群と比較して鎮痛効果消失後の行動学的、および組織学的な変化は認められなかった。10%リドカイン投与では、硬膜外投与群では全例にて行動学的異常は認められなかった。くも膜下投与群では6割のラットにおいて尾の熱刺激からの逃避反応時間は延長し、その後4日間にわたり知覚鈍麻を示した。組織学的には、くも膜下投与群では、傷害は馬尾から神経根、脊髄白質および髄質に認められた。病理学的には、軸索の退行性変化、ミエリン構造の消失、遊走細胞の出現が認められた。硬膜外投与群でも、神経組織の傷害は認められたが、馬尾への傷害の程度はくも膜下投与に比較し低く、脊髄においても白質、神経根で認められたが髄質への傷害はなく、その程度はくも膜下投与よりも軽度であった。 以上の実験結果により高濃度の局所麻酔薬には神経毒性があり、投与経路にかかわらず神経組織に傷害を起こさせるが、硬膜外投与がくも膜下投与より神経毒性の発現が低いことが明らかになった。
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