2000 Fiscal Year Annual Research Report
容量感受性クロライドチャネル活性化に及ぼす麻酔薬の影響
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12671476
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
富山 芳信 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30243702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80234615)
大下 修造 徳島大学, 医学部, 教授 (60144945)
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Keywords | 容量感受性クロライドチャネル / プロポフォール / 冠状動脈平滑筋細胞 |
Research Abstract |
容量感受性クロライドチャネル(Clvol)は細胞容積,電気活動,細胞内pH,さらに免疫反能の調節に関与するが,血管では筋原性反応に関係している可能性がある。静脈麻酔薬の一つであるプロポフォールがClvolに及ぼす影響を人冠動脈平滑筋細胞を用いて検討した。蛍光色素法によるClvol測定はパッチクランプ法に比較して測定が容易で、細胞に対し低侵襲であることから,クロライド感受性色素であるMEQを用いた蛍光色素法によるClvol測定を行った。低浸透圧溶液で細胞を刺激するとClvolが活性化する。この状態で陰イオンであるシアンを含む溶液で細胞を灌流すると,シアンがClvolを通過してMEQ蛍光を消退させる。MEQ消退率をClvol活性化の指標とした。300,210,60mosml/kgH2Oで刺激した時に消退率がそれぞれ6.4±3.3,38.4±4.7,88.3±2.8%となり、浸透圧依存性であること、またクロライドチャネルのブロッカーであるNPPB(50,100,200μM)が210mosml/kgH2Oの低浸透圧刺激後のMEQ消退率を用量依存性に有意に抑制する(23.9±6.1,13.5±7.9,7.9±4.0%)ことを示した。この結果はMEQ消退率がClvolを表すことを支持する。ついでプロポフォール(0.3,1,3,10,30,100μg/ml)がMEQ消退率を臨床濃度から用量依存性に有意に抑制する(23.6±4.8%,19.7±7.4%,18.2±3.5%,17.6±5.0%,15.8±3.1%,10.3±3.9%)ことを明らかにした。この結果はプロポフォールの血管作用がClvol抑制を介する可能性を示唆するものである。今後人冠動脈平滑筋細胞を用いて他の麻酔薬の影響を検討すると共に、心筋細胞、脳細胞(グリオーマ細胞)を用いて検討を行ってゆく予定である。
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