2001 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素負荷および一酸化炭素吸入の脳内神経伝達物質放出に及ぼす影響
Project/Area Number |
12671493
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大槻 学 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (70233195)
|
Keywords | 一酸化炭素 / 低酸素 / 神経細胞障害 / マイクロダイアリーシス / アセチルコリン / グルタミン酸 |
Research Abstract |
低酸素状態は脳神経細胞にとって最大のストレスであり、低酸素負荷の程度と時間により神経細胞障害の程度が決定される。一方、一酸化炭素による神経細胞障害は、一酸化炭素ヘモグロビンの形成による組織低酸素状態のほか、一酸化炭素それ自身による細胞障害が加わるため、低酸素負荷による神経細胞障害と同一視することはできない。本研究では、マイクロダイアリーシス法を用いて低酸素負荷および一酸化炭素暴露時の脳内グルタミン酸、アセチルコリンを測定し、両者の違いを検討した。 前頭皮質に透析カニューレを挿入したwistarラットをプラスチック箱に入れ、95%窒素・5%酸素混合ガス(低酸素負荷)あるいは2500ppmの一酸化炭素を含有した空気(CO負荷)を吸入させた。透析液の回収は15分毎とし、高速液体クロマトグラフィーにてグルタミン酸およびアセチルコリンを測定した。グルタミン酸は、低酸素負荷により30、45、60分後で前値に比べ有意(P<0.05)に増加し、負荷終了後回復傾向を示すが依然高値を示していた。CO負荷では低酸素負荷と同様の傾向を示したが負荷終了15分後でも有意に増加していた。アセチルコリンは、低酸素負荷により30、45、60分後で前値に比べ有意(P<0.05)に増加し、負荷終了後回復傾向を示すが負荷後30〜60分で再上昇を認めた。CO負荷では、吸入15、30後に前値に比べ増加傾向を示すが有意ではなく、低酸素負荷と異なった変動を示した。低酸素負荷とCO負荷において、グルタミン酸はほぼ同様の変動を示したが、アセチルコリンでは異なっており、神経細胞に対する両者の障害機序が異なる可能性が示唆された。現在組織学的アプローチを加えて検討中である。
|