2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランディンを中心とする免疫系・神経系間の情報伝達機構の解明-炎症性疼痛モデルを用いて
Project/Area Number |
12671497
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊吹 たか秀 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90232587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 宗孝 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (50275228)
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Keywords | プロスタグランディン / シクロオキシゲナーゼ / 炎症性疼痛 |
Research Abstract |
免疫系と神経系の間の情報伝達機構に関する本研究により現在までに得られた知見は以下の通りである。 1、カラゲニンによる炎症性疼痛モデルにおいて、脳、脊髄内の血管内皮細胞に、シクロオキシゲナーゼー2(COX-2)免疫陽性細胞が多数観察された。COX-2が血管内皮細胞の核膜近辺に存在することが、多重免疫組織化学により確認できた。なお、正常状態では、大脳皮質、海馬など脳の一部にCOX-2免疫陽性神経細胞が認められるのみであり、脊髄では免疫陽性細胞は認められなかった。炎症部位においてもマクロファージなどの細胞にCOX-2免疫陽性細胞が認められた。 2、脳及び脊髄におけるCOX-2免疫陽性血管内皮細胞を経時的に定量した。カラゲニンモデルにおいて、カラゲニン注射3時間目より出現し、6時間後には最高値に達した。24時間後でも免疫陽性血管内皮細胞はわずかながら認められた。 3、脳脊髄液中のプロスタグランディンE_2は、注射3時間後より検出されはじめ、6時間後に最高値を示した。 4、痛覚過敏は注射1時間後より観察され、経時的に増強し2-3時間後に最高値を示し6時間後までプラトーの状態が持続した。また、注射2時間後に選択的COX-2阻害薬を腹腔内及びくも膜下腔に投与したところ、痛覚過敏に対して治療的効果が認められた。 以上より、カラゲニン誘発性の痛覚過敏にはCOX-2が深く関与していること、さらに3時間後以降には中枢性のCOX-2が関与していることが示唆された。初期の痛覚過敏には末梢性つまり炎症部位におけるCOX-2の関与が示唆された。また、本モデルにおけるCOX-2免疫陽性細胞の同定が初めてなされた。現在はアジバント誘発性炎症性疼痛モデルにおいても、検討を行っている。また、さらに下流のPGE合成酵素についても検討中である。
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