2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経情報系過興奮期に対応する脳/脊髄内GABA受容体サブユニットの分子機能的解明
Project/Area Number |
12671504
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 寛之 東京医科大学, 医学部, 助手 (20317837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰雄 東京医科大学, 医学部, 助教授 (70183720)
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Keywords | GABA_A受容体 / α4サブユニット / 中大脳動脈閉塞モデル / 脳梗塞 / RT-PCR / C57L / BJマウス |
Research Abstract |
本研究は脳内GABA_A受容体サブユニットの脳梗塞進行時における変動を明らかとするため,中大脳動脈閉塞モデル動物の脳内各部位におけるGABA_A受容体α4サブユニットm-RNA発現の相違をquantified RT-PCR法で比較検索することを目的とした。「方法」1)実験動物は雄性C57BL/6J(体重20-25g)マウスを用いた.2)中大脳動脈閉塞薬物は吸入麻酔下,体温を36〜38℃に維持した.さらに,6-0モノフィラメントを外頚動脈から挿入し内頚動脈を経てウィリス輪の中大脳動起始部で留置した.その際,レーザードップラー法での局所脳血流量は急激に低下することを確認した.30分後,フィラメントを抜き外頚動脈を結紮した.3)脳梗塞の評価は,パラフォルムアルデヒドによる脳潅流後NeuN抗体を使い神経細胞を染色した脳切片をCCDカメラによりNIH imageで梗塞範囲を測定した.4)梗塞後,0.5,3,6,24そして48時間後に脳内GABA_A受容体α4サブユニットでRT-PCR法を基盤とした定量法にて各脳部位のサブユニットm-RNA発現を検索した。「結果」明かな脳梗塞巣は脳梗塞後,6時間以降から観察された.一方,脳内GABA_A受容体α4サブユニットm-RNAは,脳梗塞3時間後において、正常側と比較して梗塞側の海馬,線条体に多く発現し、皮質前頭葉,後頭葉,小脳,視床,延髄では変化が認められなかった.6時間後ではこれらの増量は認められず,24時間以降では明かな減少が中脳全域で認められた.「考察」本研究成績は、脳内GABA_A受容体のα4サブユニットが脳梗塞進行時に梗塞巣で一時的な増加をすることにより脳内興奮性神経系の抑制を行う役割を果たすことを示唆するものである。
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