2000 Fiscal Year Annual Research Report
顔面神経麻痺治療における頚部交感神経機能遮断の応用
Project/Area Number |
12671511
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
村川 和重 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (70104263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夫 萬秀 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30301659)
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 星状神経節ブロック / 顔面神経組織血流量 |
Research Abstract |
側頭骨内での顔面神経の微小循環の障害がベル麻痺の神経病態に重大な影響を及ぼしていることは明らかなものの、虚血のメカニズムなどの詳細については不明な部分が多い。しかし、ベル麻痺患者の多くが患側の頭痛、顔面痛、肩凝りや耳介後部から項部にかけて肩凝り様の疼痛などを訴えることから、患側の頭頸部に交感神経系の刺激状態の存在が容易に推測される。そこで、実験的に頸部交感神経幹を電気刺激し、総頸動脈血流量および顔面神経の組織血流量は著明な減少をみたことから、頭頸部の交感神経系の機能亢進は顔面神経の微小循環を障害することが強く示唆された。一方、急性期ベル麻痺症例に対する星状神経節ブロック(SGB)は、総頸動脈および外頸動脈血流量を著しく増加させた。さらに、実験的SGBにより総頸動脈血流量のみならず、顔面神経の組織血流量も著しく増加した。しかし、臨床的には、既に交感神経の緊張が高まっているベル麻痺患者に対し、SGBにより交感神経系を遮断することから、今回は、頸部交感神経幹の電気刺激下に実験的SGBを行ったところ、電気刺激により減少していた総頸動脈血流量と顔面神経の組織血流量は刺激前のレベルまで増加した。このことから、既に交感神経系が緊張状態にあり、顔面神経の微小循環が障害されていても、SGBにより交感神経機能を抑制すれば、微小循環は改善すると推測される。この結果は、ベル麻痺患者に対するSGBの有用性を強く示唆すると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 村川和重,野間研一,松田真也 他: "星状神経節ブロックが顔面神経麻痺患者の鼓膜温に及ぼす影響"Facial N Res Jpn、. 17. 116-118 (1997)
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[Publications] 村川和重: "星状神経節機能の顔面神経組織血流量の及ぼす影響"ペインクリニック. 18. 469-474 (1997)
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[Publications] 村川和重,野間研一,石田克浩 他: "頚部交感神経幹の電気刺激と化学的遮断が顔面神経の組織循環に及ぼす影響"Facial N Res Jpn、. 15. 61-64 (1995)
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[Publications] K.Murakawa,R.Izumi,K.Noma, et al: "Effects of electrical stimulation of cervical sympathetic trunks on microcirculation in the facial nerve"Jap J Physiol、. 45. 801-809 (1995)
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[Publications] 村川和重,野間研一,石田克浩 他: "総頚動脈血流量の変化に及ぼす星状神経節ブロックと胸部硬膜外ブロックの影響"麻酔. 43. 998-1003 (1994)
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[Publications] K.Murakawa,E.Ishimoto,K.Noma, et al: "Stellate ganglion block for facial palsy"Eur Arch Otorhinolaryngology,. Suppl. 532-534 (1994)
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[Publications] Murakawa.K.,Nomu.K.,Matsuda M.,Maeda.S.,Yoshimura.Y.,Tashiro.C.,Izumi.R.,Satoni F.,Ogasuwars H.: "New Horizons In Facial Nene Research and Facial Experession"Kugler Publications. The Hague. 6 (1998)