2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671512
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Research Institution | HYOGO COLLEGE OF MEDICINE |
Principal Investigator |
上農 喜朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30289061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真也 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20258156)
太城 力良 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20107048)
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Keywords | 麻酔薬 / 分配係数 / 熱力学的変数 / セボフルレン / テトラカイン / 紫外吸収 / ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
1.ガスクロマトグラフィー・ヘッドスペースサンプラー(GC-HS)を用いて、麻酔薬の水/ガスおよび水/生体分子分配係数を測定した。セボフルラン30μ l以上の添加では、溶解度に近すぎるため、結果のばらつきが大きくなった。今回の研究期間内では、この問題を解決し、熱力学的諸変数(エンタルピーΔH、エントロピーΔS、体積変化ΔV)を計算するに十分な測定条件を設定できず、GC-HSでは初期の目的の結果が得られなかった。 2.局所麻酔薬テトラカインは強い紫外吸収(UV)を示し、このUVスペクトルは分子が存在する環境で変化する。このように麻酔薬自身をプローベ分子として、麻酔薬の生体分子への分配係数および熱力学的諸変数を得る方法を考案した。方法:テトラカイン溶液のUVスペクトルをDMPG(ジミリストイル・フォスファチジル・グリセロール)モデル膜存在下で測定した。DMPGの濃度を変えることにより、DMPG膜中へのテトラカインの分配係数と、膜中でのテトラカインのUVスペクトルを推定した。温度、圧力、pHの条件を変化させ、以下の結果を得た。結果と考察:1)荷電型テトラカインの分配に伴うΔH・ΔSは、DMPGの転移温度(T_t)以上で-3.3kJ・mole^<-1>、90.1J・mole^<-1>・deg^<-1>、T_t以下で29.5kJ・mole^<-1>、192J・mole^<-1>・deg^<-1>であった。液晶相と固相への分配係数の差が低温で増加することが、麻酔薬の逆説的温度依存性の原因である。2)T_t以下で、DMPG腹中でのテトラカインUVスペクトルにpH依存性がみられたが、T_t以上ではみられなかった。T_t以上でテトラカイン分子は膜の深いところに存在し、溶液のpH変化を受けないためである。3)荷電型テトラカインの分配に伴う容積変化はT_t以上で-4.35ml・mole^<-1>であった。高圧下で、膜中での麻酔薬の存在量は増加する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yoshiroh Kaminoh, Chikara Tashiro, Hiroshi Kamaya: "Interaction of local anesthetics with DMPG membrane"Molecular and Basic Mechanisms of Anesthesia. Edited by Bernd W.Urban et al.. (In press).