2001 Fiscal Year Annual Research Report
不安定膀胱における膀胱平滑筋神経受容体の発現変化とその機能的意義
Project/Area Number |
12671518
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 一成 秋田大学, 医学部, 教授 (90270842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 哲郎 秋田大学, 医学部, 教授 (40004642)
河谷 正仁 秋田大学, 医学部, 教授 (00177700)
下田 直威 秋田大学, 医学部, 助手 (60196558)
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Keywords | 前立腺肥大症 / 閉塞膀胱 / 不安定膀胱 / ATP / P2X受容体 / PPADS |
Research Abstract |
前立腺肥大症に伴う頻尿や尿失禁には、二次的に発生する蓄尿時の不随意な膀胱収縮(不安定膀胱)が関与していると考えられる。この発生機序に膀胱のムスカリン受容体やP2受容体の発現の変化が関与しているか否かをin vivoモデルで検討した。 まず,ラットを用いて部分的尿道閉塞モデルを確立した(前年度)。このモデルで蓄尿相における膀胱平滑筋の態様を検討するため、持続注入式シストメトリーならびに等容量性律動性膀胱収縮において、膀胱コンプライアンスや排尿反射以外の小収縮波について検討した。持続注入式シストメトリーでは、閉塞モデルで膀胱コンプライアンスが低下する傾向を認めたが個体差が大きく評価が困難であった。また等容量性律動性膀胱収縮における静止時膀胱内圧は、閉塞4週群で対照群に比較して約1.3倍になったが、atropineならびにP2X受容体遮断薬であるPPADS投与で有意な変化は認めなかった。排尿反射頻度には閉塞による影響を認めなかった。 以上のように本研究からは尿道閉塞に伴う二次性不安定膀胱の蓄尿相の変化は明らかにはできなかったが、排尿収縮の変化から類推して、少なくとも膀胱平滑筋のATPに対する興奮性の変化が起きていることは確実と考えられる。前立腺肥大症においても尿道抵抗の増大に抗して、排尿筋は収縮力を増強させるが、その機序にP2X受容体を発現させてATP性収縮を増強させている可能性が示唆される。
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