2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト前立腺肥大症発症およびホルモン抵抗性前立腺癌の発現機序の解明
Project/Area Number |
12671524
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 晴朗 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (90233808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 晋也 信州大学, 医学部, 助手 (20303472)
井川 靖彦 信州大学, 医学部, 助教授 (40159588)
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Keywords | 前立腺 / 前立腺肥大症 / ホルモン抵抗性癌 / 神経内分泌細胞 / 傍尿道腺 / 尿道憩室腺癌 / ミューラー管遺残物 |
Research Abstract |
ヒト前立腺における内分泌細胞の分布は、導管系に豊富で末梢腺房では減少し、肥大症腺房ではほとんど消失する。これは幹細胞説では説明がつかず、また同細胞が前立腺の成長や肥大症の発症に関与しないものと考えられる。またPSAやKeratin34ベータE12の染色結果より、肥大症の腺房では基底細胞層が内分泌細胞に分化する能力が減弱する可能性が示唆された。また正常前立腺外腺に認める萎縮腺はしばしば分泌細胞が萎縮し、基底細胞層が主体であることが判明した。これは癌と萎縮腺の鑑別の際、留意しなければならない。また前立腺に分布する各種神経線維の染色も試みたが、その分布と領域解剖との関係をみいだすことはできなかった。また男性小子宮の免疫染色の結果からいわゆるミュラー管遺残物の病理学的分類に成功した。 カテプシンDの分布のについては正常成人の前立腺では精丘部移行上皮、男性小子宮、主導管で発現が強いのに対して、末梢腺房では発現が弱い。一方、ホルモン療法を受けた正常前立腺部においてはこの傾向は逆転し、末梢腺房で発現が増強する。これはアンドロゲンに対する感受性が尿道近位部と遠位部で大きく異なることになり、内分泌療法不応性癌の発症を考える上で、参考になるかも知れない。同様に胎児性抗原の分布についても、検討したがモノクロナール抗体では精丘部移行上皮で発現が見られることがあるのみで、一般には染色されなかった。しかし導管癌と思われる症例でPSA陽性癌細胞とCEA陽性癌細胞よりなる2クローン性の前立腺癌があり、導管部より発症した癌はCEAを発現しやすいのではないかと示唆された。 男性前立腺と相同器官である女性傍尿道腺由来と考えられる憩室腺癌については6例を集計し、2例の内分泌細胞へ分化する癌をみいだした。また粘液産生癌全例でCEAの発現をみた。これは粘液産生癌は近位導管由来を示唆する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ogihara S, Kato H: "Endocrine cell distribution and expression of tissue-associated antigens in human female paraurethral duct"Int. J. Urol. 7. 10-15 (2000)
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[Publications] Islam M, Kato H et al.: "Prostatic Carcinoma with marked neuroendocrine differentiation"Int. J. Urol. 8. 412-415 (2001)
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[Publications] Islam M, Kato H et al.: "Adenocarcinoma of female para meteral duct showing neuroendocrine differentiation"Urology. 58. 1058iv-1058vi (2001)
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[Publications] Kato H et al.: "Histopathological study of the mullerian duct remnant: clarification of disease categories and terminology"J. Urol. 167. 133-136 (2002)