2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子を神経因性膀胱の治療に応用するための基礎的研究
Project/Area Number |
12671529
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
若林 賢彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80191724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 哲將 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10204968)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80230704)
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Keywords | 神経因性膀胱 / 神経成長因子 / 神経栄養因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
平成13年度前半は、本研究の基礎実験としてラット胎児膀胱をもちいglial cell-line derived neurotrophic factor(GDNF)ファミリーの発現について調べた。GDNFファミリーの4つの因子GDNF,Neurturin,PersephinおよびArteminとさらにこれらのレセプターであるGFRα1,GFRα2およびRetに特異的なプライマーをもちいた半定量的RT-PCR法によりこれら因子のm-RNAの発現量を調べた。PersephinおよびArteminはラット膀胱においてm-RNAの発現を認めなかった。GDNFとRetのm-RNAの発現量のピークが胎生15-16日にありその後、漸減した。しかしNeurturinのm-RNAの発現量は胎生期から生後14日までは低くそれ以降次第に増加していった。GFRα1とGFRα2のm-RNAの発現量は胎生15日が最も多く、その後次第に減少していった。ラット胎児膀胱では、胎生16日から膀胱壁に神経が進入してくることから、これらの結果はGDNFが膀胱の神経発達にまたNeurturinは膀胱壁内神経の維持に関与していることを示唆している。またこれらの因子は神経因性膀胱に対する治療薬としても利用できる可能性を示している。 平成13年度後半は、膀胱内神経再生を起こす手術をラットに施行している。われわれが開発した膀胱内神経再生モデルでは、片側の骨盤神経節から膀胱に入る神経束を挫滅すると患側の膀胱壁内の神経は早期に変性を起こすが、術後14日頃より神経の再生がみられる。このモデルを作成し、経時的(術後1,2,3,7および21日)に膀胱を摘出し健側と患側にわけて-70度で保存している。コントロールとして片側の骨盤神経節を露出したラット膀胱をもちいる。これらの標本よりtotal RNAを抽出し神経成長因子(nerve growth factor,NGF)ファミリーの4つの因子NGF,brain-derived neurotrophic factor(BDNF),neurotrophin(NT)-3およびNT-4/5に特異的なプローブをもちいてノーザンブロッテイング法を行っており、現在結果の解析中である。さらにNGFファミリーの4つの因子に特異的なプライマーをもちいた半定量的RT-PCR法によりこれら因子のm-RNAの発現量を検討中である。
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