2000 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲンの排尿筋機能への影響-前立腺肥大症排尿障害に関与する閉塞以外の要因-
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12671549
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
横田 崇 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助教授 (20240939)
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Keywords | アンドロゲン / PFS / ラット / 前立腺腫大 / 排尿筋収縮力 |
Research Abstract |
14週齢の雄S-Dラット20匹に対して、セサミ油0.2ml(Control群)およびセサミ油0.2ml+Dyhydrotestosterone 1.25mg/kg(DHT群)を各々10匹づつ4週間連日皮下投与して2群とした。投与終了後ウレタン麻酔下(1.2mg/kg)にラットを仰臥位に固定し、下腹部切開し膀胱を露出した後、膀胱頂部より26G針を膀胱内に穿刺し、膀胱内圧測定用および生理食塩水注入用とした。またラットペニス尿道口尖端部に重さ一張力トランスデューサーに取り付けた吸い取り紙をつるして、ラットが排尿した尿量を全て吸収できるように設置し、重量を時間で微分することで排尿時の尿流およびその時の膀胱内圧同時測定(Pressure-flow-study)を記録した。in vivo study後、前立腺、膀胱を一塊として摘出し、各々の重量を測定した後、生理薬理学実験に供した。 最大膀胱容量、排尿時最大膀胱内圧、最大尿流率、摘出前立腺重量および膀胱重量は、Control群では、1.2±0.3ml、17.0±2.5cmH_2O、0.18±0.06ml/sec、564.8±114.9mg、302.3±25.9mg、DHT群では1.4±0.3ml、19.2±4.9cmH_2O、0.16±0.09ml/sec、809.4±69.4mg、314.2±41.3mgであった。マグヌス法を用いた膀胱平滑筋切片に対するカルバコール用量依存性収縮反応については、ややDHT群においてControl群に比べ左方偏位したものの有意差を認めなかった。前立腺切片に対するフェニネフリン用量依存性収縮反応についても同様の結果であった。 今回の検討よりDHTはラット前立腺を腫大させるものの、PFSの検討からは尿道を閉塞しているという所見は得られなかった。一方、最大膀胱収縮圧は若干DHT群で高い値を示したことは、DHTが排尿筋収縮力に直接作用している可能性を示唆させた。受容体レベルでの変化も含め、アンドロゲンの排尿筋への作用について排尿筋切片を用いて張力一速度実験を行なう予定である。
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