2001 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲンの排尿筋機能への影響 -前立腺肥大症排尿障害に関する閉塞以外の要因-
Project/Area Number |
12671549
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
横田 崇 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20240939)
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Keywords | アンドロゲン / 雄ラット / 去勢 / 等尺性収縮実験 / 収縮速度 |
Research Abstract |
前立腺肥大症には膀胱機能障害が約60%に合併することが知られている。一方同じ閉塞膀胱である尿道狭窄や膀胱頚部硬化症などにはその合併はほとんど認めない。この臨床所見は前立腺肥大症を発生させるメカニズムの中に、膀胱機能障害を起こす原因が存在することを意味する。アンドロゲンは前立腺を腫大させる因子のひとつであり、排尿筋機能にアンドロゲンが影響することは十分に考えられる。そこで、アンドロゲンの影響が無くなった場合の排尿筋機能について検討した。 14週齢の雄S-Dラット20匹を使用した。コントロール群と去勢群に別け、去勢後1ヶ月に前立腺、膀胱を一塊として摘出し各々の重量を測定した後、薬理生理学的手法を用いて検討した。マグヌス法を用いた膀胱平滑筋切片に対するカルバコールとATPの濃度依存性収縮反応は2群間に差を認めなかった。一方、経壁神経電気刺激実験では刺戟周波数が10Hz以下で去勢群のほうがコントロールに比較して明らかに収縮が約70%減少していた。しかしそれ以上の周波数ではその収縮力に差を認めなかった。このことはアンドロゲン減少の影響は膀胱平滑筋受容体ではなく、神経レベル特にNANC神経に障害を及ぼしていることが推察された。また、経壁神経電気刺激等尺性収縮実験で、荷重の違いによる収縮速度を測定したところ、去勢群ではコントロールに比較して同じ荷重による収縮速度が遅いこと、そしてその収縮力は減少することが判明した。すなわちアンドロゲンの減少は排尿筋収縮力を減少させる方向に働き、これはNANC神経障害が原因となっている可能性がある。
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