2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子生理学的手法を用いた子宮筋イオンチャネルの発現制御機構の解明
Project/Area Number |
12671575
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
手塚 尚広 山形大学, 医学部, 講師 (60261690)
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Keywords | 子宮平滑筋 / イオンチャネル / 分子生理学 |
Research Abstract |
子宮平滑筋の興奮収縮連関には,Caイオンの動員が必要不可欠であるが,それは子宮収縮の鍵を握る酵素であるミオシン軽鎖キナーゼの活性化には,細胞内遊離Caイオンの存在が必須となるからである.さらに,平滑筋細胞の膜の安定化や電気的特性の理解には,NaイオンやKイオンの考慮をも必要とする.極最近になって,電気生理学的・薬理学的特性から分類されたT型の電位依存性Caイオンチャネルが,Perez-Reyesらによって漸くクローニングされた.また一般に,ステロイドホルモンが遺伝子の発現に関与していると理解されている.そこで本研究では,子宮平滑筋のT型電位依存性Caイオンチャネルと,Naイオンチャネル発現の解析を試み,特にステロイドホルモンとの関係から同分子の発現調節に関する新しい知見を得た.我々が独自にデザインしたprimerを用いてReverse Transcription-Polymerase Chain Reactionを行い,T型電位依存性Caチャネルと,NaチャネルmRNAの定量を試みた.ヒト子宮筋を用いたT型電位依存性Caチャネルの研究では,陣痛発来群が陣痛未発来群に比してmRNAの発現が約1/2に減弱していた.また,ラット子宮筋を用いたNaチャネルの研究では,妊娠中期のmRNAレベルは高値であったが以後漸減し,妊娠末期には約1/4に減少していた.以上の結果から,ステロイドホルモンレベルの変動が,T型電位依存性CaチャネルとNaチャネルmRNA発現の制御に関与していると推測され,またmRNAレベルの変化はチャネルの形成を介して妊娠の維持・分娩と密接な関係にある可能性が示唆された.
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