2000 Fiscal Year Annual Research Report
栄養膜の浸潤機構におけるトロンビンレセプターの役割に燗する研究
Project/Area Number |
12671582
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
己斐 秀樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20280969)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 康史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80242197)
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50126223)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60093176)
|
Keywords | トロンビン / トロンビンレセプター / 栄養膜 / 浸潤 / matrix metalloproteinase / 絨毛外栄養膜細胞 / protease-activated receptor / 脱落膜細胞 |
Research Abstract |
患者のインフォームドコンセントを得た初期絨毛からextravillous trophoblast(以下EVT)を得、以下の実験にもちいた。matrigelを用いた浸潤実験ではトロンビンの添加は、EVTの浸潤を有意に促した。一方EVTの増殖は有意に抑制した。培養上清中に分泌されるmatrix metalloproteinase(MMP)をZympgraphyとWestern blottingにて定量的に解析したところ、EVTから分泌されるgelatinaseはMMP2がMMP9に比べ有意で、トロンビンの添加は活性化型のMMP2を有意に増加させること、collagenaseの内MMP1が有意に増加することが明らかになった。EVTをもちいたflow cytometryでは、トロンビンの添加はEVT表面に発現しているmembrane type 1 MMP(以下MT1MMP)を有意に増加させることが明らかになった。トロンビンの増殖抑制効果は抗トロンビン抗体の前処置により中和されたが、浸潤能促進効果は完全には中和されなかった。トロンビンには一部のMMPを直接に活性化させる作用が知られていることが、EVTの浸潤能の亢進にはトロンビンによりMT1MMPの発現が増加し細胞表面での潜在型MMP2から活性型MMP2への活性化も関与することが明らかになった。Flow cytometryをもちいたEVT表面のインテグリンの定量的解析により、トロンビンの添加はαv/β3やαv/β5の発現を変化させるこたが明らかになった。これらの変化はこれまでに免疫組織化学的に近位のEVTから遠位へのEVT変化と一致した。メッセージレベルのそれらの変化を現在解析中であるが、トロンビンが付着絨毛の接着部のcell columnより脱落膜に向けて浸潤するEVTの増殖、浸潤、分化を制御する重要な局所因子であると言える。初期絨毛と脱落膜のexplantによる共培養により、絨毛と脱落膜の付着部にcell columnが形成された。現在、この系をもちいて解析中である。
|