2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤機能の分化転換からみた妊娠維持機構とその病的逸脱過程に関する研究
Project/Area Number |
12671608
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
月森 清巳 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (90253450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 恒太郎 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (40304779)
小林 裕明 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (70260700)
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
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Keywords | 妊娠中毒症 / 子宮内発育遅延 / 絨毛細胞 / 血管内皮細胞 / 好中球 |
Research Abstract |
本研究では、胎盤絨毛細胞が分化転換することによって産生される活性物質を用いて、絨毛細胞・血管内皮細胞・好中球の個々の細胞機能ならびに細胞間相互作用の解析を介して、妊娠維持機構の病的逸脱モデルとして代表される妊娠中毒症ならびに子宮内発育遅延の各々に特有の病態形成過程を明らかにすることを目的とした。 これまでの研究によって、妊娠中毒症を発症した症列の絨毛細胞には、血管内皮細胞を傷害する因子が存在すること、本因子は好中球の活性酸素産生能を増強し、この活性化した好中球は血管内皮細胞を傷害すること、この因子は絨毛細胞の細胞死を誘導すると同時に、インテグリンα1の発現を増強することが分かった。一方、子宮内発育遅延症例の絨毛細胞には、絨毛細胞ならびに血管内皮細胞の増殖能を抑制する因子が存在することが分かった。 以上の成績から、妊娠維持機構の病的逸脱モデルの病態形成過程には、1)絨毛細胞由来の血管内皮細胞傷害因子あるいは細胞増殖抑制因子が存在すること、2)絨毛細胞由来の血管内皮細胞傷害因子は、好中球と血管内皮細胞に作動して、母体-子宮-胎盤系における微小循環系の定常性の維持機構の破綻を惹起し、妊娠中毒症の発症に関与すること、3)絨毛細胞由来の細胞増殖抑制因子は絨毛細胞自体の増殖を抑制すると同時に、胎盤の血管新生の抑制を介して子宮内発育遅延をきたすことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Fukushima, K.Tsukimori et al.: "IGF-Related Proteins at Birth in a Case of Antenatally Diagnosed Silver-Russell Syndrome"PEDIATRIC RESEARCH. 51(3). 323-327 (2002)
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[Publications] H.Nakamura, K.Tsukimori et al.: "Proton gradient-dependent transport of valproic acid in human placental brush-border membrane vesicles"Pharmaceuticl Research. 19. 154-161 (2002)
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[Publications] A, Emoto, K.Tsukimori et al.: "H^+-linked transport of salicylic acid, an NSAID, in the human trophoblast cell line BeWo."Am J Physiol Cell Physiol. 282. C1064-C1075 (2002)
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[Publications] M.Inuyama, K.Tsukimori et al.: "Characteristics of L-lactic acid transport in basal membrane vesicles of human placental syncytiotrophoblast"Am J Physiol Cell Physiol. 283. C822-C833 (2002)
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[Publications] 小松 一, 月森清巳, 中野仁雄: "妊娠ラットモデルを用いた妊娠中毒症の病態形成に関する研究"産婦人科治療. 84(3). 352 (2002)
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[Publications] 小松 一, 月森清巳他: "妊娠ラットを用いた子宮胎盤循環の障害時期と母仔に及ぼす影響に関する研究"日本妊娠中毒症学会雑誌. (印刷中).