2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者体外受精卵に対する卵細胞質移植による胚発育改善の基礎研究
Project/Area Number |
12671628
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
神野 正雄 杏林大学, 医学部, 助教授 (00162826)
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Keywords | 卵細胞質 / 細胞質移植 / 体外受精 / 胚発育 / 加齢 / 核移植 |
Research Abstract |
8週齢(若年群)と6〜8ヵ月齢(高齢群)のF1雌マウスに対して、pregnant mare serum gonadotropin(PMS)とhuman chorionic gonadotropin(hCG)にて過排卵誘発を施行し、hCG投与約15時間後に、卵管より排卵卵を回収した。若年群の卵を5μg/mlのcytochalasine B添加培養液にて約15分培養した後に、micromanipulatorで内径約14μmのinjection pipetteを用いて第一極体とその直下にある第二減数分裂中期にある染色体とを吸引し抜核した。高齢群の卵から第一極体を10〜18μmの諸種の内径のinjection pipetteにより抜取り、吸引・排出を反復して膜を壊してから、これを若年群の抜核卵に注入した。予備実験を10回行い、このinjection pipetteの最適な内径を決定することを試みた。10〜12μmでは、30個の卵に試み、すべて第一極体が吸い込めなかった。14μmでは、15個の卵に試み、13個で第一極体の抜取りに成功したが、13個の卵に注入すると9個は直ちに崩壊し、残り4個も2時間培養後には変性していた。16〜18μmでは、40個の卵に試み、全て第一極体を抜き取れたが、40個の卵に注入して全て直ちに崩壊した。同様の実験をPVP液でpipetteの内面を濡らし、滑りを良くして反復したが結果は同様であった。こうした予備実験の結果、第一極体の抜取りには14μmが良いとわかったが、この直径では注入による卵の障害が克服できないと考えられた。以上、本研究課題の結果から、今後は仙台ウイルスによる膜融合を注入の代わりに用いた研究など、さらなる展開が考えられる。
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