2000 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体修飾分子ラロキシフェンによる骨代謝調節における作用機構の解明
Project/Area Number |
12671631
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
太田 博明 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70090008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 真里子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296653)
矢島 正純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10182320)
高松 潔 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30206875)
柳本 茂久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286542)
弟子丸 亮太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40286539)
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Keywords | Raloxifene / SERM / 骨代謝 / Flow Cytometry / マウス / Bリンパ球 / OVX / 骨量 |
Research Abstract |
Raloxifene(Ly)は,OVXマウスのようなエストロゲン非存在下では抗骨吸収作用を示す。しかし正常マウスのようなエストロゲン存在下においては,Lyが骨代謝調節や骨髄微小環境に対してどのような効果を示すかは明らかではない。そこで,SERMの抗エストロゲン性についてさらに詳細に解析するために,エストロゲンを産生分泌している正常マウスに対するLyの効果の解析を試みた。 研究対象として正常マウスとしては8週齢のddyマウスを用いた。これらの正常マウス8匹ずつにvehicle,100μg/kg/日のLy(Eli Lilly社製)および0.3μg/kg/日の17β-estradiol(E_2,Sigma Chemical社製)を各々投与し,2週間後にト殺した。評価項目として,先ず子宮重量はcontrolであるvehicle投与群では159.5±22.2(mean±SD)mg,Ly投与群では94.2±8.7mg,E_2投与群では499.4±163.5mgを呈した。この結果から,子宮重量はLy投与により有意差はないが減少を示し,またE_2投与では有意(p<0.05)に増加した。すなわち,Lyは子宮に対してはE_2とは反対の作用を示した。 次に骨髄細胞を採取して,Bリンパ球における特異的表現マーカーに対するモノクローナル抗体B-220を用いたFlow Cytometryにて解析した。その結果,骨髄中のB-220陽性細胞数はvehicle投与群では30.0±3.2%,Ly投与群では30.3±3.5%,E_2投与群では16.4±3.5%であった。すなわち,Ly投与では,骨髄中のBリンパ球に変化はなかったが,E_2投与では有意(p<0.05)に減少した。このことから,Lyは骨髄造血にはE_2のような作用を示さなかった。以上から骨や骨髄に対するlyの作用は,マウスにおいて卵巣機能に関係なくE_2の作用とは異なることが判明した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 太田博明: "選択的エストロゲン受容体作用物質(selective estrogen receptor modulator : SERM)の作用機構"カレントテラピー. 18(2). 136-141 (2000)
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[Publications] 太田博明: "選択的エストロゲン受容体修飾剤"CLINICAL CALCIUM. 10. 235-240 (2000)
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[Publications] Hiroaki Ohta: "Association of Transforming Growth Factor β1 Genotype with Therapeutic Response to Active Vitamin D for Postmenopausal Osteoporosis"Journal of Bone and Mineral Research. 1 5 (3 0 ). 415-420 (2000)
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[Publications] Hiroaki Ohta: "Comparative Effects of Estrogen and Raloxifene on B Lymphopoiesis and Bone Loss Induced by Sex Steroid Deficiency in Mice"Journal of Bone and Mineral Research. 1 5 (3 O ). 541-549 (2000)
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[Publications] 太田博明: "骨粗鬆症の病態におけるエストロゲン・エストロゲン受容体系の役割"クリニカ. 25(2). 92-97 (2000)
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[Publications] Hiroaki Ohta: "Usefulness of HMG-CoA Reductase Inhibitor in Japanese Hyperlipidemic Women within Seven Years of Menopause"Hormone Research. 53. 120-124 (2000)
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[Publications] 太田博明: "全面改訂 骨粗鬆症Q&A Q.63ホルモン補充療法(エストロゲン)による薬物治療について教えて下さい"編集/森井浩世 東京:医薬ジャーナル社. 238 (2000)
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[Publications] 太田博明: "メディクイックブック 改訂第2版 13産婦人科 3生理不順,4生理痛,5妊娠中毒症,6つわり(妊娠悪阻),7不妊症,8避妊法"監修/水島裕,編集/鈴木康夫 他 東京:金原出版. 238 (2001)