2000 Fiscal Year Annual Research Report
造精過程における染色体構造蛋白に対するアンドロゲンの影響に関する検討
Project/Area Number |
12671641
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
霞 弘之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00289068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60195865)
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Keywords | アンドロゲンレセプター / 乏精子症 / 無精子症 / ブルタミンリピート |
Research Abstract |
男性不妊症の原因としてoligozoospermia及びazoospermiaは比較的高頻度にみられるものである。我々はすでにoligozoospermiaの患者において、androgenreceptor(AR)遺伝子のexon Aのglutamine repeatの数が正常人に比して少ない例が多いことを明らかにした(Komori S et al,Mol Hum Reprod.Vol5,p14,1999)。このexon AはAR遺伝子の発現及びその標的遺伝子の発現にも関与していると推測されているが、その詳細は未だ明らかでない。我々は別のAIS患者においてARのexon Aのglutamine repeatが正常人よりも少なく、そのことによりin vitroの発現系でARの細胞での発現が低下していることを証明している(Komori S et al,Gynecol Endocrinol.Vol.12 No.1 p1-8,1998)。一方、精子が形成される過程で染色体の構造が変化することが知られている。この際、精巣特異的histoneがtransition protein(TP)1,TP2を経てprotamineに置換する。これら蛋白(特にTP1,2)自体の異常が精子形成能および運動能に影響を与えることが報告されている(Steger,K et al,Mol Hum Reprod.Vol 4,p939,1998)。本研究ではARを介したandorgenの影響、ARのglutamine repeatの多寡が、造精過程、特に染色体の凝縮という構造変化に重要な影響を持つhistone,TP1,TP2およびprotamineの発現にどのような影響を与えるかを中心に検討する。 1)ARと染色体構造蛋白のゲノム遺伝子との関連の検討 histone、TP1、TP2とprotamineのゲノム遺伝子のプロモーター領域を用いてARとの結合の有無をgel shift mobility assayにて検討する。現在、すでにこれら遺伝子をベクターに組込んだ上で遺伝子の単離を行った。正常のARを発現ベクターに組み込みCos7細胞にelectroporation法にて導入し、この細胞より核蛋白を抽出して上記ゲノム遺伝子の断片と反応させる。この反応系にヒトARに対するモノクローナル抗体を添加する。これらを、変性ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動してgel shift mobility assayを行う。この際に、DHT添加の有無および添加濃度による差異も検討する。現在、細胞より核蛋白を抽出し、泳動条件を検討としている。また、すでに、histone、TP1、TP2とprotamineのそれぞれのゲノム遺伝子のプロモーター領域を5'上流領域より欠失された断片を作成している。今後、上記の発現系を用いて、AR遺伝子と結合する領域を検索する予定である。
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