2001 Fiscal Year Annual Research Report
造精過程における染色体構造蛋白に対するアンドロゲンの影響に関する検討
Project/Area Number |
12671641
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Research Institution | HYOGO COLLEGE OF MEDICINE |
Principal Investigator |
霞 弘之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00289068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60195865)
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Keywords | アンドロゲンレセプター / Transition protein / アンドロゲン / CAGリピート / 造精機能 |
Research Abstract |
本研究ではandrogen receptor(AR)を介したandorgenのTransition protein 1(TP1)への影響、ARのglutamine repeatの多寡がTP1の発現にどのような影響を与えるかを中心に検討した。 1)TP1遺伝子の5'上流領域の単離 遺伝子バンクデータベースを元にtransition protein 1(TP1)の5'上流領域を含む塩基配列を検索した。これを元に920bpまでの上流を含むDNA断片をヒトDNAをもとにPCR法により単離した。単離したDNAを細断片化して塩基配列を決定した。その結果単離した遺伝子では塩基配列は一部ことなっていることが判明した。ホモロジーは97%であった。さらにTable 1に示すように現在までに報告されている明らかなandrogen-androgerreceptor complexが結合するsteroid hormone resposive element(SRE)及びandrogen responsive element(ARE)は、認められていない。しかし、類似の配列を114-130(GGCTTCCCAATGTACTT)に認めた。この配列が実際にandrogen-androgerrcepter complexの結合領域かどうかはさらに検討が必要である。それ以外にCAT box, TATA boxを認めた。 2)発現系を用いたARのTP1への影響の検討 COS7細胞にCAG repeatの異なったandrogenreceptor gene (AR gene)を導入して、DHT添加非添加での発現活性を検討したところ、CAG repeat22のAR geneを導入した細胞ではluciferace活性の上昇が認められた。これは、TP1遺伝子の5'上流領域に少なくともDHT及びARにより発現に影響を受ける領域が存在していることを示している。一方で、CAG repeat12および15のAR geneを導入した場合は、活性の上昇は認めなかった。このことは、CAG repeatの減少はTP1遺伝子の発現の減少を引き起こす可能性を示している。 今回の検討にて、androgenがTP1蛋白の発現に影響していることが,はじめて明かになった。さらに、ARのCAG repeatが22から15及び12へと減少することによりその発現に及ぼす影響が減弱することも明らかになった。以前に我々が、乏精子症の患者にはandrogenのCAG repeatの減少した割合が多いという報告をした。また、TP1及びTP2蛋白自体の異常が精子形成能および運動能に影響を与えることが報告されている(Steger, K et al.,Mol Hum Reprod. Vol4,p939,1998)。今回の結果より、androgenのCAG repeatの減少TP1の発現への影響が減弱することも一つのメカニズムであることが示唆された。
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