2000 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性鼻炎発症における遺伝的素因の分子生物学的解析
Project/Area Number |
12671650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永田 博史 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (20237530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 公一 千葉大学, 医学部, 助手 (50261920)
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Keywords | 高親和性IgE受容体β鎖 / 遺伝子多型 / インターロイキン4 / アレルギー性鼻炎 / 患者・対照研究 |
Research Abstract |
高親和性IgE受容体β鎖(FcεRIβ)の遺伝子多型Glu237Glyおよびインターロイキン4(IL-4)のプロモーター領域の遺伝子多型-524C/Tが、アレルギー性鼻炎と相関を示すかについて解析を行った。対象は233名のアレルギー性鼻炎患者と100名のコントロールであった。カイ二乗検定により検定したところ、FcεRIβの遺伝子多型Glu237Glyは、アレルギー性鼻炎と有意の相関を示したが(p<0.05)、IL-4の遺伝子多型-524C/Tとアレルギー性鼻炎との間に有意の相関は認められなかった。Gly237のコントロール群およびアレルギー群におけるアリルの頻度はそれぞれ0.14、0.20であり、Gly237を有する者の頻度はそれぞれ0.23、0.356であった。Glu237Glyについて、さらに、アレルギーは鼻炎群から以下の3つのグループを抽出して相関をしらべた。(i)通年性アレルギーを有する群(n=149)、(ii)スギ花粉症を有する患者群(n=189)、(iii)通年性アレルギーの他に複数の花粉症を有する群(n=45)。カイ二乗検定で検定したところ、いずれの群においても、Gly237を有する者の頻度はコントロール群にくらべて有意に高かった(通年性アレルギー群、p<0.05;スギ花粉症群、p<0.05;通年性に複数の花粉症を有する群、p<0.001)。333名の対象全員において、血清総IgE値とGly237の相関について検討したところ、250IU/ml以上の群では250IU/ml未満の群にくらべて有意の相関を示し(p<0.05),血清総IgE値が1000IU/mlの群ではさらに強い相関(p<0.001)が認められた。また、(i)および(ii)の群でハウスダストおよびスギ花粉に対する特異的IgEのRASTスコアとGly237の相関について調べたところ、ハウスダストRASTスコア6の者(p<0.05)とスギ花粉RASTスコア5以上の者(p<0.05)で相関が認められた。この結果は、FcεRIβのGlu237Gly遺伝子多型は、IgE産生高進を介して、アレルギー性鼻炎に関与していることを示している。
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Research Products
(1 results)