2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損マウスの眼球運動とその際の神経活動解析で行なうめまい・平衡障害の研究
Project/Area Number |
12671662
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辻 純 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 紀彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (30324627)
平野 丈夫 京都大学, 理学研究科, 教授 (50181178)
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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Keywords | グルタミンレセプターデルタ2サブユニット / 前庭代償 / 一側前庭破壊後 / 前庭動眼反射 / c-Fos / 内側前庭神経 / 下前庭神経 / 舌下神経前位核 |
Research Abstract |
(はじめに) グルタミンレセプターデルタ2サブユニットは、小脳のプルキンエ細胞にのみ存在し、小脳の長期抑制に深く関与することが知られているが、その機能の詳細は不明である。我々は、このサブユニットの前庭代償への関わりを知るために、グルタミンレセプターデルタ2サブユニット欠損マウスにおける、一側前庭破壊後の前庭代償を調べた。 (方法) 前庭代償の検索は、姿勢の制御の経時変化、前庭動眼反射の経時変化、脳幹におけるc-Fos陽性細胞の観察によって行った。 (結果・考察) グルタミンレセプターデルタ2サブユニット欠損マススでは、一側前庭機能破壊後の姿勢制御の回復が野生型マウスより遅延すること、また前庭動眼反射の利得の回復が遅延することが観察され、これらのことからグルタミンレセプターデルタ2サブユニットが前庭代償を早めるために重要な働きを担うことが判った。 また脳幹のc-Fos陽性細胞の観察では、グルタミンレセプターデルタ2サブユニット欠損マウスでは、反対側の内側および下前庭神経に陽性細胞の増加が見られ、これらの部位への小脳からの抑制の低下が示唆された。さらに速度蓄積機能の重要な部分である舌下神経前位核では、陽性細胞がほとんど見られず、上記の機能的変化が速度蓄積機能の異常に原因することが考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 村井紀彦, 辻純, 堀龍介, 船曳和雄, 内藤泰, 中川隆之, 伊藤嘉一: "マウスにおける一側内耳破壊後の前庭眼反射の代償"Equilibrium Research. 61巻1号. 40-44 (2002)
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[Publications] 辻 純, 村井紀彦, 内藤泰, 伊藤嘉一: "一側内耳破壊後のマウス脳幹内c-Fos発現様式"Equilibrium Research. 61巻4号. 206-209 (2002)
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[Publications] Funabiki K, Naito Y.: "Validity and limitation of detection of peripheral vestibular imbalance from analysis of manually rotated vestibulo-ocular reflex recorded in the routine vestibular clinic"Acta Otolaryngol. 122巻1号. 31-36 (2001)