2001 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス特異的CD8+キラーT細胞の経鼻感染防御における役割
Project/Area Number |
12671665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50273644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉根 一郎 国立感染研究所, ウイルス部, 部長 (90278656)
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Keywords | 粘膜免疫 / インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
上気道感染症は耳鼻咽喉科領域においても重要な疾患であり、近年、粘膜免疫の研究が消化管粘膜のみならず上気道粘膜においても進んできた。将来、感染症に対するワクチン接種を経鼻、経口により投与するためにも鼻咽頭粘膜における液性免疫、細胞性免疫の研究が必要と考え以下の研究を行ってきた。我々は、これまでインフルエンザウイルスをマウスに経鼻接種することにより感染マウスを作成し、インフルエンザウイルス抗原特異的T細胞クローンを種々作成した。それぞれのクローンの認識するエピトープは合成ペプタイドを用いた解析により9つのアミノ酸からなるペプタイドであることを明らかにし、これらのペプタイドをアジュバントとともにマウスの皮内に注入し抗原特異的キラーT細胞が誘導されることを証明した。一方、経口遺伝子ワクチンの開発を目指して、われわれは消化管細胞への遺伝子導入を可能にする非ウイルスベクターを開発し、ポロエチレンイミンーキトサン複合体を非ウイルスベクターとして用いて胃上皮細胞への遺伝子導入が可能であることを確認した。現在、我々が同定したインフルエンザウイルスCTLエピトープをコードする遺伝子を非ウイルスベクターに組み込み、経口遺伝子ワクチンを作製しマウスに投与して免疫応答の解折を行っている。経鼻および経口遺伝子ワクチンは投与の容易さ、低侵襲性の面からも非常に有用と考えられ、本研究により、経口感染ウイルスのみならず非経口感染のウイルスに対する遺伝子ワクチン開発への新たな道を開く。
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