2000 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌の放射線および化学療法に対する効果増強因子についての研究
Project/Area Number |
12671668
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 思 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (60263696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 典之 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181261)
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Keywords | 頭頚部扁平上皮癌 / mcl-1 / HKR1 / 治療抵抗性 |
Research Abstract |
本研究はまず頭頚部癌の生物学的時徴を調べる目的で以下の因子について遺伝子、および蛋白レベルでの発現を検討し、これにより個々の腫瘍特性に合う治療の方向付けを探ることを第一目的としている。今回検討した項目は1)アポトーシス制御因子の一つであるbcl-2family、2)ziuc-finger motifをもつHKR1である。用いた検体は当科で加療を行う頭頚部癌患者より得られた腫瘍組織で、組織採取時に厳重なインフォームドコンセントが得られたものに限った。1)bcl-familyのうちmcl-1(myeloid cell leukemia-1)は頭頚部癌の臨床材料における上記の因子の遺伝子レベルでの検討はほとんどなく、治療に直接結びつく点で極めて有意義であると考える。当科で経験した頭頚部扁平上皮癌症例16例の同一患者から得られた正常粘膜と腫瘍組織および治療前後の腫瘍組織を用いてRT-PCR法によりmRNAの発現量を検討した。mcl-1は全症例においてmRNAの発現が認められたが、正常粘膜に比べ腫瘍組織においてmcl-1mRNAの発現が高い傾向にあった。頭頚部扁平上皮癌においてもmcl-1の発現が、細胞の悪性化や放射線療法、化学療法に対する感受性に関連している可能性が示唆された。2)HKR1遺伝子については、頭頚部扁平上皮癌組織において化学療法、放射線療法を中心とした治療歴を有する群では、未治療群に比べてHKR1の発現が有意に高く認められた。このことは、治療後に再増殖してきた癌細胞においてHKR1の発現上昇が起こり、それが持続していることを示している。従って、HKR1遺伝子産物あるいは、この発現上昇に関わるシグナル伝達経路が癌細胞の治療抵抗性獲得に関与している可能性が示唆された。
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