2000 Fiscal Year Annual Research Report
老化モデル(クロトーマウス)の内耳・脳幹における組織化学的研究
Project/Area Number |
12671674
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
鳥原 康治 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30264386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 圭二 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (40253835)
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Keywords | 老化 / クロトーマウス / 内耳形態 |
Research Abstract |
クロトーマウスを光顕及び電顕で形態を加齢に伴って観察し、さらにPAS染色をそれぞれ行ったのでその結果を日本耳科学会で報告した。3〜9週齢のクロトーマウスとコントロールのための野生型マウス(体重6〜30g前後)を使用、光顕用のPAS染色は型の如く行った。電顕用のPAS染色はPA-TCH-SP法で行った。さらにTCHを省いたPA-SP法もコントロールとして作製した。内耳の骨組織で骨化が不十分な部位を光顕標本(HE染色)にて認めた。コルチ器、クプラや前庭については著明な形態的変化は認めなかった。光顕用のPAS染色で本来PAS陽性部位である蓋膜やライスネル膜、血管基底膜などの部位に加えて血管条毛細血管の基底膜やその周囲ににじみ出たような粒状の沈着物を認めた.電顕PAS染色(PA-TCH-SP)では血管条毛細血管内皮細胞や基底膜にPAS陽性反応を認め特に内皮細胞には電子密度の高い粒状沈着物に似た反応を認めた。腎臓を含め他臓器の血管壁にもPAS陽性反応を認めた。クロトーマウスではほぼ3〜4週齢から野生型と比較して変化が出てくるがとくに6〜7週齢では各臓器での血管やその周囲のにじみ出るようなPAS陽性物質が認められた。これらは野生型マウスでは認められず、複合糖質を多量に含有する物質であることが推定される。電顕PAS染色ではPA-TCH-SP法とPA-SP法の両方でその電子密度が共に高いことから石灰化も生じていると推測される。はっきりとした結論は言えないが、これらの沈着物の存在が内耳機能に関与する可能性があり、その組成の解明と聴覚機能に関する解析が今後の検討課題である。
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