2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入を用いた癌細胞浸潤におけるIL-6のMMP活性化の解明
Project/Area Number |
12671679
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
西野 宏 自治医科大学, 医学部, 講師 (50245057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 恵一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00010471)
石川 和宏 自治医科大学, 医学部, 助手 (40296083)
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Keywords | 頭頸部癌 / γ線 / 自殺遺伝子 / アデノ随伴ウイルス / 単純ヘルペスチミジンキナーゼ / ガンシクロビル |
Research Abstract |
平成13年度の研究計画は癌細胞にIL-6レセプターを遺伝子導入し、IL-6レセプターを強制発現させることであった。実際に頭頸部癌細胞に遺伝子導入を行うと遺伝子導入効率が悪く、今後の研究計画が円滑に進められないことがわかった。そのため遺伝子導入効率を高める方法の確立が本年度の主たる研究内容となった。 【背景】我々はγ線がAAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターの二本鎖合成を促進し頭頸部癌細胞での導入遺伝子の発現を増強することを報告している。 【目的】癌細胞に対するγ線照射の有無による自殺遺伝子導入の発現の変化を検討する。 【方法】LacZ遺伝子または単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子を組込んだAAVベクター(AAVLacZ, AAVtk)を作製し,これらをヒト喉頭癌由来のHEp-2細胞及びHeLa細胞に感染させ,γ線照射の有無によるガンシクロビル(GCV)に対する感受性の差を検討した。更に,HEp-2細胞をヌードマウス皮下に移植し形成した瞳瘍にAAVベクターを感染させ,γ線照射の有無による腫瘍内での導入遺伝子の発現及びGCVに対する感受性の差を検討した。 【結果】AAVtk/GCV単独でも癌細胞に対する十分な殺細胞効果が得られたが、γ線はこの効果を最高で約15倍まで増強した。また腫瘍内でのAAVLacZの発現はγ線で約3倍に増強された。腫瘍増殖はAAVtk/GCV単独でも低下したがγ線の併用で30日間完全に抑制された。 【まとめ】以上よりAAVベクターによる自殺遺伝子導入はγ線を併用した際に増強を認めた。またγ線を併用したAAVベクターによる自殺遺伝子治療の有用性が動物個体レベルにおいても示唆された。 【今後の展望】IL-6を導入する際にγ線照射をおこない遺伝子導入効率を高められる。ヒトにおけるγ線を併用したAAVベクターによる自殺遺伝子治療施行の可能性が存在することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takeharu Kanazawa, Masashi Urabe, Hiroaki Mizukami, Takashi Okada, Akihiro Kume, Hiroshi Nishino, John Monahan, ken Kitamura, keiichi Ichimura, keiya Ozawa: "γ-Rays enhance rAAV-mediated transgene expression and cytocidal effect of AAV-HSVtk/ganciclovir on cancer cells"Cancer Gene Therapy. 8. 99-106 (2001)
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[Publications] Takeharu Kanazawa, Hiroshi Nishino, Mamoru Miyata, ken Kuriki, Kouichi Abe, Keiichi Ichimura: "Haemangiopericytoma of infratemporal fossa"The Journal of Laryngology and Otology. 115. 77-79 (2001)
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[Publications] 石川和宏, 西野宏, 市村恵一: "自治医科大学における頭蓋底手術の適応と限界"頭頸部腫瘍. 27. 55-61 (2001)
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[Publications] 西野 宏: "頭頸部MRI診断マニュアル、ENTONI No2"全日本病院出版会、編集企画夜陣紘治. 27-31 (2001)
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[Publications] 西野 宏: "耳鼻咽喉科診療プラクテイス 頭頸部腫瘍診療におけるdecision Making"分光堂、編集岸本誠司. 70-73 (2001)
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[Publications] 西野 宏, 市村恵一: "耳鼻咽喉科診療Q&A"六法出版社 名古屋. 486-487 (2001)