2000 Fiscal Year Annual Research Report
HPV16E7を発現させた頭頸部上皮細胞の分化およびアポトーシス感受性の解析
Project/Area Number |
12671687
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
堤 康一朗 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (40217344)
|
Keywords | HPV16 / 頭頸部上皮細胞 / 分化 / アポトーシス / Fas / Bcl-X_L / pRb |
Research Abstract |
pRbが正常である頭頸部扁平上皮癌細胞とHPV16の導入によって形質転換した頭頸部上皮細胞(pRbがHPV16E7蛋白の発現によって不活化されている)を抗Fasモノクローナル抗体=CH11で処理し、Fasを介するアポトーシスへの感受性を調べた。頭頚部扁平上皮癌細胞株は3株(HSC-2、HSC-3、HEC-4)検討し、HPV16不死化喉頭上皮細胞株(HLEC16)とHLEC-16を4-(methylnitrosamine)-1-(3-pyridyl)-1-butanoneで処理することによって樹立したヌードマウスへの造腫瘍性を示す細胞株(HLEC16T)を検討した。全ての細胞株はFas蛋白を発現しFas-ligand mRNAは発現していなかった。CH11はHSC-2、HSC-3、HEC-4に対して細胞死を誘導せず(CH11抵抗性)、アクチノマイシンD(ActD)による処理がCH11抵抗性形質をCH11感受性へと変換したことから、このCH11誘導性アポトーシスへの抵抗性はRNA合成に依存していることが示唆された。ActD処理細胞と未処理細胞ではBcl-2の発現に差は認めなかったが、Bcl-X_L発現はActD処理細胞で大幅に減少したことから、検討したCH11抵抗性細胞におけるFasからのアポトーシス誘導シグナル伝達はBcl-X_Lが抑制し得る段階で制御されている可能性が推測された。HLEC16TはHLEC16と比較してCH11誘導性細胞死に対する感受性が低かった。Baxの発現レベルはHLEC16とHLEC16Tで差を認めなかったが、Bcl-2とBcl-X_Lの発現レベルはHLEC16Tで上昇していたことから、Bcl-2とBcl-X_Lの過剰発現によるFasを介したアポトーシスの抑制がHLEC16Tのヌードマウスへの造腫瘍性獲得機構に関与している可能性が示唆された。
|