2000 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザルに発症する黄斑変性症の網膜における遺伝子発現パターンの解析
Project/Area Number |
12671724
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩田 文乃 順天堂大学, 医学部, 助手 (60212586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 仁 順天堂大学, 医学部, 講師 (60235207)
|
Keywords | 黄斑変性 / cDNA / Subtraction |
Research Abstract |
今回、我々は構造的にヒトの眼球に最も近いサル(カニクイザル)の眼球を用いて綱膜黄斑部と周辺部における遺伝子発現量の比較をcDNA Subtraction法を用いて行い、遺伝子発現パターンの比較から、網膜黄斑部で特に多く発現している遺伝子を分類し、未知遺伝子についてそのクローニングを試みた。 筑波医学実験用霊長類センターから提洪された生後5年のカニクイザルの眼球を死後1時間以内にRNA阻害剤に入れ、網膜から黄斑部と周辺部をそれぞれ直径3mmのディスク状にパンチした。ディスク状の組織は網膜-網膜色素上皮細胞と脈絡膜層に分離し、4つの網膜-網膜色素上皮細胞層をプールして黄班部と周辺部についてmRNAを抽出した。このmRNAに対し逆転写とLD-PCRを行い、発現パターンを変化させずにcDNAの増幅を行った。PCR-select cDNA subtraction法(Clontech Laboratories Inc.)を用いて網膜黄斑部で発現量が多い遺伝子を濃縮し、これをプローブにして当研究室で作成されたカニクイザル網膜cDNAライブラリー(Uni-ZAP XR vector,Stratagene Inc.)に対してスクリーニングを行った。ポジティブな100個のクローン全てについてインサートの増幅をT3およびT7プライマーのPCRで行い、自動蛍光シークエンサー(CEQ2000XL,Beckman Couter Inc.)を用いて塩基配列を決定した。塩基配列はBLAST検索にかけ、未知遺伝子を35発見した。このうち14遺伝子についてReal-Time PCR法(GeneAmp 5700,PE Biosystems)による黄斑部と周辺部の発現量の比較を行なった。内部コントロールにはGAPDH、18S、beta-Actin、TFIIDを用いた。 この結果、2つの未知遺伝子M1とM2についてそれぞれ305%と273%の差が計測された。今回の実験で網膜黄斑部に発現する遺伝子の3割が未知遺伝子であることが確認され、そのうち黄斑部でより多く発現している2遺伝子についてさらに解析を行った。今後この遺伝子を含め、残りの未知遺伝子について全塩基配列を決定し、機能解析をする予定である。
|