2001 Fiscal Year Annual Research Report
カスパーゼ阻害剤による網膜色素変性症モデルにおける視細胞アポトーシスの制御
Project/Area Number |
12671728
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 敏実 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20192263)
四方 伸明 関西医科大学, 医学部, 助教授 (00121939)
|
Keywords | Retinitis pigmentosa / N-methyl-N-nitrosourea / Apoptosis / Photoreceptor cell / Retinal degeneration / rd gene / Caspase / Caspase inhibitor |
Research Abstract |
1.rd遺伝子を保有し、網膜変性を自然に惹起するC3Hマウスならびに対照としてrd遺伝子を保有しないICRマウスにカスパーゼ3阻害剤であるAc-DEVD-CHOを2mg、8日齢より隔日に腹腔内投与し、13日齢、17日齢の網膜をカスパーゼ3阻害剤非投与群(生食群)と比較した。13日齢ではC3Hマウスの生食群における全網膜厚ならびに外網膜厚(外顆粒層厚+杆体・錐体層厚)は各の140.3μmと37.5μmであったのに対しAc-DEVD-CHO群は160.4μmと49.5μmを呈し、有意(p<0.01)に網膜変性の抑制をみた。一方、ICRマウスの生食群はこの日齢182.1μmと90.9μmであったのに対し、Ac-DEVD-CHO群は183.8μmと90.9μmであった(有意差なし)ことより、Ac-DEVD-CHO処置は正常網膜の発育には影響を示さなかった。TUNEL陽性数はC3Hマウスの生食群では10^4μm^2あたり23.52細胞であったが、Ac-DEVD-CHO処置群では18.73細胞と有意(p<0.05)に減少していた。一方、ICRマウスでは、生食群、Ac-DEVD-CHO群は各の0.59細胞、0.80細胞と有意差はなかった。なお、PCNA陽性数はC3H、ICRマウスともにAc-DEVD-CHO処置により有意な変動はみなかった。よって、カスパーゼ3阻害剤はrd遺伝子による網膜変性を13日齢においては抑制する。しかしながら、17日齢においてはC3Hマウスの網膜変性の抑制には効力を発揮しなかった。Ac-DEVD-CHOのrd遺伝子による網膜変性抑制作用はアポトーシスの抑制を介して作用することが判明したが、その効果は一過性で永続的ではなかった。 2.我々はN-methyl-N-nitrosourea誘発ラット網膜変性症モデルにおいてもAc-DEVD-CHOの障害抑制効果を示した(Yoshizawa K et al.,Exp Eye Res,2000)ことより、カスパーゼ3阻害剤は視細胞アポトーシスを発症機転とするヒト網膜色素変性症にも一部応用可能と考える。
|
Research Products
(1 results)