2001 Fiscal Year Annual Research Report
ティッシュエンジニアリング手法を用いた皮膚再建に関する研究
Project/Area Number |
12671754
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
熊谷 憲夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30103477)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60193603)
|
Keywords | フィブリン / 表皮細胞 / 培養 / scaffold / 再生表皮 / 再生真皮 / 再生皮膚 |
Research Abstract |
本年度の研究において、フィブリンゲル上に表皮細胞を培養し、その有用性について研究した。従来型の培養表皮シートは、十分な分化を成しえた表皮シートであってもその物理強度は脆弱取り扱いが難しくまた、真皮成分が存在しないために、真皮層が欠損した創部では生着率が低下した。今回我々は、フィブリンゲルを擬似真皮成分として用いることで、真皮欠損創への生着率の向上と表皮シートの取り扱いの利便性向上を考えた。 その結果、フィブリンゲル上で表皮細胞の培養は容易に可能となったが、表皮細胞が産生する各種のたんぱく質分解酵素のため容易に加水分解され、長期の培養には適さなかった。そこで、このフィブリンゲル内にある種の物質を一定の割合で混入した新規フィブリンゲルを作成することで、加水分解によるフィブリンゲルの崩壊を回避することができ、同時に物理強度も上げることを可能とした。さらに、高価なフィブリンゲルの使用量も減らすことが可能であり、表皮細胞の培養も、従来法を用いることができることからきわめて有益な方法と考えられた。 従来表皮細胞が産生する蛋白分解酵素を阻害する目的で、アプロチニンなどの蛋白分解阻害薬が用いられてきたが、現状これらの原料は牛由来でありBSEを始めとする感染の危険を否定できない。今回確立した培養法は、牛由来成分を使用することなく長期にわたってscaffoldとしての改変フィブリンゲル上で培養が可能で、物理強度も高くディスパーゼなどで表皮細胞をはがす必要もないので、安定かつ高品質の再生表皮シートが作成できる。しかもこの改変フィブリンゲルscaffoldは、再生真皮として利用できる可能性がある。 今後再生真皮成分としてこの改変フィブリンゲルscaffoldを用いこのscaffold上で培養した表皮細胞で再生皮膚を作成し、この再生皮膚の真皮欠損部位への応用を試みその生着の可能性を研究する必要がある。
|