2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管形成因子(VEGF)が骨代謝に及ぼす影響に関する研究
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12671772
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新飯田 俊平 広島大学, 歯学部, 助手 (10137630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 憲彦 広島大学, 歯学部, 教授 (60049418)
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Keywords | VEGF / op / opマウス / M-CSF / 破骨細胞 |
Research Abstract |
[目的]血管内皮増殖因子(VEGF)は破骨細胞の分化因子であるM-CSFの代替因子として作用する。しかし、VEGFに依存して形成された破骨細胞の微細形態ならびに成熟破骨細胞に対するVEGFの効果についてはまだ検討を行っていない。本研究ではこれらの点を明らかにすることを目的とした。 [方法]M-CSF活性を遺伝的に喪失したosteopetrotic(op)マウスにVEGFを投与して破骨細胞を誘導し、電子顕微鏡的に観察した。マウスから骨髄細胞を採取し、sephadex G10カラムを通過させて間質細胞、マクロファージ樹状細胞を除去した。この細胞画分をRANKLとVEGFもしくはM-CSFを加えたα-MEM培地で培養し、それぞれの系における破骨細胞の反応の違いを検討した,opマウスの卵巣摘出(OVX)を行ない、術後1ヶ月に採血し、VEGF、IL-1、ならびにTNFαの血中濃度の変化をELISAにて検索した。 [結果と考察]VEGF投与によってopマウスの骨に誘導された破骨細胞は、正常のものに比べ小型で、1〜3核のものが多かったが、発達したruffled border、明瞭なclear zoneとともに発達した細胞小器官が観察された。これらの所見は破骨細胞を特徴づけるものであり、骨吸収活性を示唆するものである。骨髄細胞より調整された破骨細胞に対するVEGFの効果については、即効的な効果を示すM-CSFに比べ、きわめて緩やかであったが、明らかに細胞を伸展させる効果が示された。OVXをしたopマウスの血中VEGF濃度は未処置マウスに比べ有意に上昇を示した。また、VEGFの分泌亢進作用をもつIL-1についても同様に上昇を認めた。しかしTNFαについて現在再検討中である。これらの結果から、VEGFは破骨細胞の分化のみならず微弱ながら活性維持にも作用することが示唆された。また、IL-1はVEGF産生亢進に作用し、破骨細胞の分化活性化を支持することが示唆された。
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