2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内細菌由来病原因子によって誘導される歯肉上皮細胞の応答
Project/Area Number |
12671779
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
根本 優子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (10164667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 重信 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10177917)
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / 歯周病原性細菌 / LPS / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
歯肉上皮細胞は口腔細菌と第一義的に相互作用を持つ場と考えられるが,適当な株化細胞がなかったことから,歯肉炎や歯周病の発症における上皮細胞の関与についての詳細は明らかでない.本研究では口腔内感染症における上皮細胞の機能を明らかにする目的で,温度感受性SV40large T抗原トランスジェニックマウス(C57BL/6)より樹立した歯肉上皮細胞株(GE細胞)の細胞特性とグラム陰性細菌の細胞壁構成成分(LPS)に対する反応性について検討した.GE細胞は33℃,5%CO_2存在下,1%FCS,10ng/ml EGFを含むSFM101培地で培養した場合,倍加時間32時間で増殖し,線維芽細胞などとの共培養なしに,コンフルエント後2週間で重層化した.ケラチン,フィラグリンについての免疫組織化学的検討から,歯肉内縁上皮細胞の分化形質を保有することが明らかとなった.菌体病原性因子に対する細胞膜レセプターの発現に関して免疫組織化学染色とRT-PCRで検討したところ,無刺激状態で,増殖期および重層化GE細胞はCD14を発現することが明らかとなり,また,TLR2,およびTLR4 mRNAの発現も認められた. Escherichia coliおよびPorphyromonas gingivalis LPS刺激により,増殖期GE細胞では炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,TNFα)mRNA量の顕著な増加が見られた.以上の結果から,歯肉上皮細胞は歯周病原性細菌の病原因子に直接応答し,炎症を惹起する可能性が示唆された.一方,重層化GE細胞では,無刺激状態でTNFα mRNAの発現量が増加しており,表皮ケラチノサイトの報告と一致して,TNFαが口腔上皮組織の恒常性の維持に機能している可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)