2000 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕誘発性バイオフィルム形成を抑制するリプレイスメントセラピー用菌株の創製と応用
Project/Area Number |
12671786
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
福島 和雄 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (20009327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 紀子 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (90287665)
竹内 武男 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (90171610)
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Keywords | う蝕予防 / リプレイスメントセラピー / S.mutans / S.sobrinus / バイオフィルム |
Research Abstract |
本研究の目的は、有用なリプレイスメントセラピーによるう蝕予防法を確立することを最終目標として、酸拡散バリアー能の高いう蝕誘発性のバイオフィルム形成を抑制する働きを持つミュータンスレンサ球菌株およびミチスレンサ球菌株を遺伝子工学技術を用いて創製あるいはヒト口腔から分離し、それらのIn vitroおよびIn vivoにおける抗う蝕効果を調べることにある。その目的達成のため、平成12年度は主として、ヒト口腔から新鮮分離したミュータンスレンサ球菌株を中心に検討を試みた。先にう蝕罹患経験の無い成人の口腔から分離し菌種同定を行った非水溶性グルカン合成能が微弱ながらも平滑面固着性のあることが判明しているS.mutansとS.sobrinusの両既得株につき、ラット使用の動物う蝕実験を行った結果、それら菌株を単独感染させたラット群のう蝕スコアーは標準菌感染ラット群のそれより有意に低く、いずれもリプレイスメントセラピー用菌株として使用できる可能性が強く示唆された。しかしながら当該S.sobrinus株は、主要GTFであるGTF-I、GTF-TおよびGTF-Uの産生性がいずれも標準株のそれらより著明に低く、かつバシトラシンに感受性であり、血清学的反応性およびPCR分析の結果もまた本菌株がS.cricetusに近い株である可能性を示唆した。最近、ミュータンスレンサ球菌用選択培地に増殖不能のバシトラシン感受性のS.sobrinusがヒト口腔に広く分布している可能性が示唆されている。そこで、無う蝕あるいは低う蝕罹患経験者の口腔に棲息するバシトラシン感受性S.sobrinus株の分離を30%ショ糖加平板培地を用いて試みた。しかし、無・低う蝕者の歯垢サンプルからはバシトラシン抵抗性のS.mutans株のみが分離され、S.sobrinus株はバシトラシン感受性株のみならず抵抗性株も全く分離されなかった。なお、高う蝕者1名の口腔からはバシトラシン感受性のS.sobrinus様菌株が分離されたが、それはS.sobrinusではなくS.cricetusと同定された。
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