2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収抑制薬開発への新しいアプローチ:リガンド/受容体接触ポイントからの創薬
Project/Area Number |
12671802
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40272603)
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Keywords | 構造生物学 / TNF / RANKL / 破骨細胞形成抑制 / 環状ペプチド / 生体分子間相互作用解析装置 / 炎症性骨吸収抑制剤 |
Research Abstract |
TNFα/TNF受容体の相互関係において機能的に最も重要な接触ポイントの立体構造に似せてわずか9つのアミノ酸でてきた環状ペプチドW9は、TNFαの作用をブロックする(Nature Biotechnology,15,1266-1270,1997)。今回我々は、このW9により低カルシウム食飼育によるマウスの骨密度減少を完全に抑制し、低カルシウム食飼育による破骨細胞数の上昇もブロックすることを見いだした(昨年の報告書参照)。この骨吸収抑制メカニズムを明らかするために、生体分子間相互作用解析装置(IAsys、Thermolab system)を用いて合成環状ペプチドW9とRANKLおよびTNFの相互作用を検討したところ、RANKLおよびTNF双方ともW9にほぼ同様な親和性を持ってバインドしていることが明らかとなった。また、TNF superfamilyのCD40Ligandに関しては同様な親和性は全く検出されなかった。このことから、W9はTNFとRANKLの双方に対するアンタゴニストとして生体内で働く可能性が示唆された。また、C57BL/6マウス骨髄細胞からRANKLにより破骨細胞を誘導すると、5μMのW9により完全に抑制されるが、TNF/TNF受容体の相互作用を抑制しない環状のコントロールペプチドによっては全く抑制を示さなかった。また、TNF受容体1型、2型それぞれのノックアウトマウスを用いて同様な実験を行なったが、RANKL誘導による破骨細胞形成をW9は野生型同様に5μMの濃度で完全に抑制した。このことからW9はTNFのアンタゴストとしてだけでなく、RNAKLのアンタゴストとして働き、炎症性の骨吸収に対しても有力な抑制剤になる可能性が示唆された。(論文投稿中)
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