2000 Fiscal Year Annual Research Report
月経周期でのエストロゲン動態に伴う顎関節症の病変部の分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
12671833
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
末永 重明 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00136889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 強志 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (90136888)
重田 浩樹 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10274854)
犬童 寛子 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00301391)
野井倉 武憲 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40102561)
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Keywords | 顎関節症 / 関節疼痛 / 円板後部組織 / 月経周期 / エストロゲン / MR画像 / 造影効果 / 炎症性病態 |
Research Abstract |
顎関節症の発症については、咬合異常や咀嚼筋の変化を指摘する研究は多く認められるが、女性ホルモンとの関係について検討した研究は見当たらない。本研究(平成12年度)では、月経周期に伴う血中エストロゲンの変化と関節疼痛症状の程度、関節円板後部組織の造影効果との関連性について評価した。 対象は顎関節症42名53関節で(すべて女性)、MR装置はGE社SIGNA(1.5T)を使用した。関節疼痛症状はMR画像検査前に問診をおこない、visual analog scaleを用い、その程度を100mm scaleで測定した。また、月経周期はNoyesらの報告に基づいて、menstrual phase(1-4日)、proliferated phase(5-14日)およびsecretory phase(15-28日)の3グループに分類を行なった。 結果:関節疼痛の程度と円板後部組織の造影効果との間には中等度の相関性が得られた(r=0.68,p<0.001)。関節疼痛と月経周期との関係として、月経期、増殖期および分泌期におけるVAS値(mm)の平均は、それぞれ55.0±17.1、38.3±22.1、60.0±18.1で増殖期群と分泌期群の間に統計的有意差がみられた(p<0.005)。関節疼痛群において、月経期、増殖期および分泌期での円板後部組織のsignal intensity(SI)ratio[SIpost-SIpre/SIpre]の平均値は1.74±0.45、1.16±0.61、1.97±0.63で、増殖期群に有意に低かった(p<0.001)。非症状側群では、各周期におけるSI ratioの平均値はすべて1.00以下で、3群間で有意差はみられなかった。 結論:以上の結果により、体内でエストロゲン分泌が有意な増殖期では関節疼痛や円板後部組織の炎症性は軽減し、分泌が低下する分泌期で増強する傾向を示した。 平成13年度における基礎的研究のために、RA患者3名における膝関節手術後の滑膜組織を用いて、explant法ならびにcollagenase処理法によりマクロファージと線維芽細胞に分離し、細胞培養後凍結保存している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suenaga,S.: "Temporomandibular disorders : MR assessment of inflammatory changes in the posterior disk attachment during the menstrual cycle."Journal of Computer Assisted Tomography. (In press). (2000)
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[Publications] Suenaga,S.: "Temporomandibular disorders : Relationship between joint pain and effusion and nitric oxide concentration in the joint fluid."Dentomaxillofacial Radiology. (In press). (2001)