2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671843
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
櫻井 一成 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30129118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Keywords | 口腔粘膜前癌病変 / 口腔扁平上皮癌 / COX-2蛋白 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
口腔粘膜前癌病変60例(上皮異形成症:軽度,中等度,高度各20例),上皮内癌12例,扁平上皮癌72例(初期浸潤癌12例,高分化型浸潤癌,中分化型浸潤癌,低分化型浸潤癌各20例),未分化癌12例,上皮過形成症10例の生検・手術材料(ホルマリン固定/パラフィン包埋材料)計154例を検索対象として,正常舌粘膜30例を対照に置き,口腔癌形成(連続的癌化過程)におけるCOX-2蛋白の発現について,組織切片を使用し免疫組織化学的に検討した.一次抗体としてhuman COX-2(IBL社製)を使用した.COX-2発現率の算定は各例における陽性細胞数を5段階に分類(Grade0-4)し,陽性細胞の局在および発現様式について検討した.この結果,正常舌粘膜症例ではCOX-2発現は示されなかったのに対し,上皮異形成症症例においては,概ね異形成症の程度の上昇とともに発現率の増加が示された.また上皮内癌症例においては,その83%にGrade3-4相当の過剰発現がみられた.さらに扁平上皮癌症例各型,未分化癌症例および上皮過形成症症例においては全例(特に初期浸潤癌で高発現)にGrade2以上の過剰発現が認められた. [考察]正常粘膜→上皮異形成症→上皮内癌に至る連続的癌化過程において,COX-2発現増強が示されたことから,COX-2が口腔扁平上皮癌の癌化に密接に関与していることが明らかとなった.また初期浸潤癌でCOX-2の高発現が示されたことより,COX-2が口腔癌の初期浸潤にプロモーターとして関連することが示唆された.一方,上皮過形成症症例に過剰発現がみられた点については,細胞増殖因子との関連性について検索する必要性があると考えられる.現在,口腔癌の成長発育におけるCOX-2の関与,および癌の転移における関与について検索を進めている.またこれと並行して,採取した検体におけるCOX-2遺伝子の増幅の有無について,Western blotting法により検証中である.
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