2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の発癌および浸潤・転移におけるCOX-2の関与
Project/Area Number |
12671843
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 一成 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30129118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Keywords | 口腔粘膜 / 前癌病変 / 扁平上皮癌 / 浸潤・転移 / COX-2 / Topisomerase II alpha / HPV16 / 18型 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本研究は、COX-2がとりわけ消化器系諸臓器の発癌と成長・発育に密接に関与している点に着目し、口腔癌の浸潤・転移におけるCOX-2との関係に重点を置き、口腔癌[病態の異なる口腔扁平上皮癌(OSCC)と疣贅状癌(VC)]におけるCOX-2発現の意義および役割を探求するものである。 口腔粘膜上皮異形成症(ED)、上皮内癌、浸潤性扁平上皮癌、未分化癌を含む221例を検索対象(対照:正常舌粘膜12例)として、口腔癌形成過程におけるCOX-2発現とともに、HPV16/18型の関与および細胞増殖動態について免疫組織化学的検索を主体に蛋白レベルで検討したところ、口腔癌の形成、成長・発育とともにCOX-2蛋白発現増強がみられた。これに伴いPCNA, Ki-67, Topoisomerase II alpha各LIの上昇が示された。また腫瘍分化度の低下とともに、COX-2蛋白発現率の上昇傾向が示された。なお口腔癌形成過程においては、HPV16/18型発現がED主体に61%の症例に認められた。COX-2蛋白発現とHPV16/18型発現の両者間には逆相関がみられ、COX-2蛋白高発現例に予後不良例が目立ったのに対し、HPV16/18型高発現例では5年生存率が高い傾向が示された。なお疣贅性過形成症20例、VC47例については、COX-2蛋白発現とHPV16/18型発現の間には相関性が示された。 一方、OSCC82例の原発、転移巣におけるCOX-2蛋白発現について比較検討したところ、腫瘍転移巣におけるCOX-2蛋白発現は、原発巣に比して有意な増加傾向(増加率:22%)を示した。これは転移巣における腫瘍増殖に際して、COX-2蛋白の産生能が亢進することにより、腫瘍転移巣におけるCOX-2蛋白発現増強が導かれるものと推察された。また転移に伴うCOX-2蛋白発現は、原発腫瘍組織の分化型に左右されずに転移巣において早期に誘導されるものと考えられ、COX-2蛋白がOSCCの転移形成と密接に関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 櫻井一成, 黒田純子, 橋谷 進, 西村則彦, 野口一馬, 岸本裕充, 浦出雅裕: "口腔扁平上皮癌の原発、転移巣におけるCyclooxygenase(COX)-2蛋白発現の比較検討"日本口腔科学会雑誌. 51巻6号. 366-373 (2002)