2001 Fiscal Year Annual Research Report
接着・再植法と歯周組織再生療法を併用した陳旧性垂直破折歯根の治療法
Project/Area Number |
12671845
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 裕史 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00312372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 豊 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60291233)
西岡 敏明 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20228159)
菅谷 勉 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (10211301)
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Keywords | 垂直破折歯根 / 接着 / 再植法 / 歯周組織再生療法 / 接着性レジンセメント |
Research Abstract |
垂直破折した歯根の接着治療について、様々な検討がされている。我々は昨年度の報告で、垂直破折による歯周組織破壊のメカニズムを検討し、破折後初期にはprobing depth、probing attachment lossが増加しても、上皮の根尖側移動はなく組織学的なattachment lossはわずかで、その後経時的に歯周組織破壊が進行することを明らかにした。しかし、接着治療後の歯周組織の治癒状態は未だ明らかでない。そこで、本年度は新鮮破折歯根の接着治療後の歯周組織の治癒状態を検討する目的で、実験動物の歯根を破折させ、口腔内接着法と口腔外接着再植法を行った場合の歯周組織の治癒状態を、臨床所見と組織学的計測で比較、検討した。 被験歯にはビーグル犬の上下顎前臼歯と上顎切歯を用いた。歯冠を切除後抜髄、根管拡大を行い、歯根を垂直破折した。口腔内接着群は破折1週間後に4-META/MMA-TBBレジンでメタルコアを接着し、破折部を根管内から接着したもの、口腔外接着・再植群は破折後ただちに、口腔外で接着・再植したもの、また対照群は接着治療を行わなかったものとした。臨床診査はprobing depthの測定、組織学的計測はCEJから4mm根尖側の位置の、歯槽骨吸収量、炎症性歯根吸収率、骨性癒着率とした。 その結果、probing depthは対照群では経時的に有意に増加したが、口腔内接着群は経時的な増加は無かった。口腔外接着・再植群では経時的変化はみられず、観察期間中、他の2群に比べて有意に浅かった。歯槽骨吸収量は、口腔外接着・再植群は他の2群に比べて有意に低い値であった。炎症性歯根吸収率は、対照群は他の2群に比べて有意に高かった。骨性癒着は対照群、口腔内接着群では認められなかったが、口腔外接着・再植群で認められた。 以上の結果から、垂直破折歯根に口腔内接着法を行った場合、破折部の封鎖が不十分になりやすく、破折に沿って細菌が増殖し対照群と類似の歯周組織の破壊が進行するものと考えられたが、口腔外接着・再植法は破折部周囲の炎症やポケットの形成は少ないが、骨性癒着が認められた。現在、さらに陳旧性破折歯根の治癒形態について検討を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Sugayaら: "Periodontal healing after bonding treatment of vertical root fracture"Dent. Traumatol.. 17(4). 174-179 (2001)
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[Publications] 菅谷 勉ら: "垂直破折した歯根の接着性レジンによる治療法"歯界展望増刊号、歯科医学と健康の創造. 290 (2001)
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[Publications] 加藤 熙ら: "歯の意図的再植法の成功率向上と適応症の拡大に関する研究"日本歯科医学会誌. 20. 69-79 (2001)