2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内腐食環境における異種金属材料共存の安全性に関する基礎解析
Project/Area Number |
12671871
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 雄京 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10206766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 攻 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50014080)
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Keywords | 歯科用合金 / 異種金属接触腐食 / 溶出試験 / 溶出イオン / アノード分極 / 自然電極電位 / 耐食性 / 安全性 |
Research Abstract |
口腔内環境における歯科用合金の接触に起因した腐食挙動と安全性を調べる目的で、チタンおよびチタン合金、貴金属合金、Ni-Cr合金、アマルガム合金等を互いに接続し、溶出イオインから接触腐食を系統的に検討した。 37℃の0.9%NaCl水溶液中でチタンと12%金銀パラジウム合金およびTypeIV金合金を等面積比で接触すると、Cuイオンの溶出量が有意に増加したが、TypeIV金合金から溶出したCuイオンの増加は僅かであった。接触前後においてTiイオンは溶出しなかった。また、同溶液中において、比較的電位の近いチタンとNi-Cr合金を接触させた場合には、Niイオンの溶出量が有意に増加した。自然電極電位がチタンよりも低く、不安定なものがあることから、Ni-Cr合金の鋳造組織に見られる微細な鋳巣などの鋳造欠陥部が脱不動態化しやすいことに起因することがわかった。同溶液中におけるTypeIV金合金とNi-Ti合金の接触では、Niイオンの溶出量が3倍近く増加し、予想通り電位の低いNi-Ti合金の腐食が促進した。 表面積の比率を変えて従来型アマルガムとチタンを接触させた溶出試験において、従来型アマルガムでは、InとSnの溶出量は等面積比程度まではそれぞれ単独の約2および約5倍の増加であった。チタンの面積比が10倍と極端に大きい場合、Inの溶出量は単独の2倍程度に留まっていたが、Snの溶出量が単独の50〜100倍に増大することがわかった。高銅型アマルガム単独では、接触するチタンの面積比が10倍と極端に増大すると、Snの増加が5倍程度であったのに対し、Cuは単独の100倍以上も溶出することがわかった。 このように、異種金属接触によるガルバニ腐食は溶出量を増加させるだけでなく、表面積比が大きく異なる場合には、卑な金属の腐食が極端に加速され、大きな腐食損傷の原因となる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高田雄京: "溶出イオンを中心とした歯科用合金の耐食性評価"材料と環境. 49巻・8号. 454-462 (2000)
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[Publications] Y.TAKADA,H.NAKAJIMA,T.OKABE and O.OKUNO: "Microstructure and Corrosion Behavior of Binary Titanium Alloys with Beta-stabilizing Elements"Dental Materials Journal. 20(1). (2001)