2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における血管新生因子VEGF遺伝子の発現調節機構の解析
Project/Area Number |
12671926
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塩入 重彰 東京医科歯科大学, 歯学部・付属病院, 講師 (90124693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60100129)
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Keywords | ヒト口腔扁平上皮癌 / 血管新生 / VEGF / KDR / ヒアルロン酸 / PGHS-2 |
Research Abstract |
我々の樹立したヒト口腔扁平上皮癌細胞のうちHSC-3は他のクローンと異なりVEGF産生量が多く、血管新生亢進作用が強いため、移植実験においても増殖が可能である。この細胞の培養上清を血管内皮細胞に添加するとVEGF受容体のうちKDRの発現が上昇することが明らかとなった。そこで、本年はVEGF産生を亢進する因子の同定の目的のため、最近消化器癌でVEGF産生を促進することが知られているPGHS-2産生産物であるPGE2を調べたが、本細胞ではCOX-2の発現は認められず、PGE2も検出限界以下だった。次に、KDR発現亢進作用に関し検討を行ったところ、VEGF中和抗体の添加でHSC-3の培養上清による血管内皮細胞KDR発現の亢進効果は抑制されたことより、本細胞は、VEGF産生とその産生されたVEGFによるKDRのupregulationにより血管新生を促進し、自分自身のin vivoにおける増殖を促進していると考えられた。最近、VEGFによる血管新生が高分子ヒアルロン酸により抑制的に、低分子ヒアルロン酸により促進的に働くことが明らかとなったので、HSC-3のヒアルロン酸分解酵素の発現を調べたところ、ヒアルノニダーゼー1が発現していること、さらにその受容体で生存率と関係があると考えられているCD44バリアントー3が本細胞で発現していることが明らかとなった。このことより、HSC-3は他のクローンと異なり、血管新生因子を発現し自らに栄養を供給するとともに、その阻害物質であるヒアルロン酸を分解することにより低分子ヒアルロン酸に変換し、血管新生をより促進していることが明らかとなった。
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