2000 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨形態形成の異常に関与する遺伝子の探索と機能解析に関する分子生物学的研究。
Project/Area Number |
12671927
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森 正次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90272608)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝部 憲一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20233760)
|
Keywords | Pleiotorophin / トリ胚 / 体節 / 体軸形成 / Pax3 |
Research Abstract |
PTN(pleiotrophin)神経突起の成長促進作用、血管壁修復作用、骨芽細胞の接着、腫瘍新生等、多機能はを有するヘパリン結合型成長因子である。我々は体節形成初期のPTNの役割を解析する目的で、トリ胚を用いて以下の実験を行った。whole mount in situ hybridizationによってPTNの発現パターンを調べると、PTNのトリ初期胚での発現様式は体節の各形成時期に従って複雑に変化することが分かった。PTN発現は分節直後の体節から分化初期の体節に認められるが特に後肢芽領域に対応したレベルでは神経管、体節の近接した領域に強く発現が認められた。体節-神経管間と、体節-側板間の切離実験および、体節表皮外胚葉の除去実験の結果から、後肢芽に対応した領域の体節でのPTNの発現は、神経管・脊索からの分泌因子が制御していることが分かった。そこで背腹軸極性誘導因子のWnt-1,ShhさらにPTN自身を神経管で強制発現させたが、体節のPTN発現は変化しなかった。つまり、体節でのPTN発現制御はPTN直接ではなく、他因子を介するものであり、この他因子は背腹軸極性誘導因子によって直接影響されないことが分かった。PTNの神経管への強制発現は後肢芽発生に対応したレベルの体節で、Pax3の発現を皮筋板内側、神経管近傍領域で上昇させた。他の体節分化マーカーのmyf5,myoD,Pax1の発現は変化しなかった。また、PTNを発現しているCOS細胞を、除去した神経管部へ移植してもPax3発現は上昇した。この結果からPTNが直接Pax3の発現を直接上昇させた可能性があることが分かった。今回の研究から、PTNの体軸形成への関与が推測され、また、PTNがPax3を介して体幹の筋肉や骨格の形成にある特定の部位(腰部)で関与している可能性が示唆された。
|