2000 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性三叉神経障害後に生ずる異常感覚の発生メカニズムと治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
12671930
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
瀬尾 憲司 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (40242440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 助教授 (70181419)
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Keywords | Trigeminal / Subnucleus caudalis / 膜電位画像 / 蛍光色素 / slice / GABA / グルタミン酸 / rat |
Research Abstract |
実験は4週齢のラットから摘出した延髄から、sagittalとcoronalの2方向で切った厚さ400μmの三叉神経脊髄路核尾側亜核のスライス標本をそれぞれ作製した。スライスは膜電位感受性色素RH-414で染色した後、95%酸素・5%二酸化炭素でバブリングしたクレブス液で還流した。定電流刺激を単刺激でtract(Tr),the marginal layer(Ma),the substantia gelatinosa(SG)の3つの領域へ加えて、惹起される蛍光の変化を高速ビデオカメラで撮影し観察した。その結果、Trへの刺激による反応は、隣接するMaの広がりは見せず、短時間の電極周囲に限局していた。Maへの刺激による反応はMaまたはSGへ広がり、一方、SGへの刺激ではSGまたはthe magnocellular layer(Mg)へ広がり、これらはいずれもcoronalよりもsagittalのスライスで大きく広がった。さらにこれらの蛍光反応の広がりはナトリウムチャネル遮断薬であるTTXで抑制され、またグルタミン酸受容体拮抗物質であるCNQXやMK-801では変化は生じなかった。したがって、これらは三叉神経におけるTr内の求心性線維のSGへの投射の方向が、脊髄領域とは異なった方向性を有していることを示唆している。さらにMaまたはSG刺激による反応は、グルタミン酸を伝達物質とするシナプスを介したものではなく神経線維または細胞の直接の興奮による脱分極であることを示している。さらにMaまたはSGにおける神経のネットワークが吻尾側方向に広がっていることを示唆している。また、100Hzで30回、SGを刺激すると、刺激が終了したあとから脱分極がSGから始まり、次第にこれが尾側亜核全体に広がり、さらにこれらは長時間持続した。こうした高頻度刺激での変化はMK-801により抑制されたが、GABA受容体拮抗物質であるbicucullineにより増強することも観察された。これらはSGの高頻度刺激は痛みの中枢である脊髄路核を長時間興奮させ続けさせるメカニズムの存在を示唆している。またこの反応はNMDA受容体を介したものであり、さらにGABAによる抑制をも受けていることが示唆される。
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