2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の増殖・転移に関連したリンパ管新生に関する実験的研究
Project/Area Number |
12671950
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
松本 有史 大分医科大学, 医学部, 講師 (10239121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 憲司 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50214664)
柳澤 繁孝 大分医科大学, 医学部, 教授 (90053222)
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Keywords | リンパ管 / lymphatic network / lymphatic vessels / 舌癌 / 組織化学 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
腫瘍細胞の浸潤・転移と微小循環系の新生と構築,特にリンパ管網との関係を明らかにする目的で,ハムスター舌癌を作成して舌組織およ頸部リンパ節を組織化学的に検索した. 1.材料と方法:生後8週(体重110〜120g)雄性ゴールデンハムスターを用いた. 発癌操作としてエーテル麻酔下に舌を擦過,10-dimethyl-1,2-benzanthracene(DMBA)を塗布した.一定期間後,採取した舌組織を微小脈管の5'-nucleotidase(5'-Nase),alkaline phosphatase(ALPase)などの酵素組織化学染色し光顕・電顕観察を行った.さらに脈管内皮細胞増殖因子などの免疫組織化学染色を行い光顕観察した.同様に頸部リンパ節を検索した. 2.結果と考察:12〜16週より舌に腫瘍形成がみられた.腫瘍と健常部の境界領域の組織内に口径の大きな5'-Nase反応陽性リンパ管が認められ,これらのリンパ管内皮細胞の5'-Nase活性は電顕(TEM, SEM)でも確認された.免疫染色にてVEGF-CのレセプターであるFlt-4の発現が5'-Nase陽性リンパ管にみられ,腫瘍組織周囲でのリンパ管新生が示唆された.リンパ節のHE染色,免疫染色で転移は明らかでなかった. これらの結果は,第18回国際リンパ学会(2001年9月3〜7日ジェノヴァ,イタリア)等国内外の学会において報告した.現在,リンパ管発生の諸段階における酵素組織化学,免疫組織化学染色像の差違を検索中である.また新生リンパ管およびそのネットワーク形成の過程,所属リンパ節へのリンパ路について観察,検討を行っている.
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